ミシロいんたーふぇいす(仮)〜2:妹〜


 そんなワケで、夕食を食べている。

 妹と俺の二人しかいないのだが。……すごい雰囲気! 団らんの食卓で殺気を帯びてるのが一名いらっしゃるんだもん!

 とりあえず、なにか話を……!


「かっ、加奈子さん? どうされ――」


 バンッ!


「ひぃっ!」


 ハシを折らん勢いでテーブルをたたきつけた!

 しかも、指を強打して涙目になってる!


「……ちがうもんっ!」

「はいっ!?」

「手が痛いんじゃなくて、おにーちゃんがザンネンな人になっちゃった悔しさで泣いてんだからね!」


 指さすりながら言っても、説得力ないッス!


「ああもー、こんなんだから……ああもう!」


 なんか一人でムシャクシャしながらテーブルを去っていくと、食器を乱雑に洗って、コタツに潜ってしまった。

 ふと、部屋での行動を振り返る俺。

(……まあ、たしかにパソコンの画面に唇をとがらせてる兄の図なんて引くよなぁ)

 両親が海外出張してからというもの、この家にはずっとあいつと二人で住んでいる。

 兄がダメネクラじゃ、妹もイヤだろう。俺は頼れる兄としてあるべきだ!


「……なあ、加奈子ぉ」


 コタツムリになってる加奈子に話しかける。返事は……帰ってこない。


「さっきは悪かった。もっと毅然とした兄でいるべきだと反省した」


 コタツの前にかがみこむ。


「ほれ、加奈子。出てきてくれ。アイスおごってやるから」


 もぞもぞ。

 ぼごっと、加奈子が首を出す。


「……約束、破ったら寝てる間に口の中にクモいれるからね」

「はいはい。ほら、手」

「んっしょっ、と」


 掴んだ手を、ぐっと引いてやる。

 そのまま、すとっと座らせた。


「おにーちゃん、アイス、忘れないでね」


 上目目線で俺を睨みつけてくる。いつもの加奈子だ。


「……くくっ」


 思わず俺は笑ってしまった。


「そこっ、なんで笑うの!?」

「いや、ごめん。つい」

「なにがついなのよーっ!」

「いつもの加奈子だなってさ」

「えっ」


 さっきまでのギスギスした態度はどこへやら。アイスの条件をあっさりのんで許してくれた加奈子が、なんかかわいかった。


「ちょっと! まだ許してないんだからね!?」

「はいはい、アイスだな。バニラでおけ?」

「……うん」


 加奈子がうなずく。


「うい。いま行ってくるから。まってろ」


 わしゃわしゃと頭をなでてから、俺はリビングを後にした。


「……――」

 ふと、小声でなにかつぶやいていたが、まあ独り言だろう。

 気にしないことにして、アイスを買いにいくために家を後にした。

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