3.

「人間増えすぎでちゅ! 間引くでちゅ! でもただ間引いたら、人権人権騒ぐやつが出てくるちゅ! なので! 一つくらい良い思いをさせてあげようという一番偉い神様の配慮でちゅ!」

 ババーン! と効果音がしそうな勢いでちゅるるちゃんは捲くし立てる。

「神様は仕事の分散と省略ができるでちゅ! 人間は社会の負担を減らせるでちゅ! 一石二鳥でちゅ!」

「それで余命換金ってわけ……」

「人間は低レベルだからお金があれば幸せと感じるでちゅ」

「……いや、お金がすべてじゃないとは思うよ」

「一発逆転でちゅ!」

 聞いてないし。

「お金さえあれば慎太みたいな残念な顔でも女の子に相手してもらえるでちゅ! ほら幸せでちゅ」

「くっ……!」

 ヴィジュアルから攻めてくるなんて卑怯だ。なにも言い返せないじゃないか!

 ぼくは恨みがましい目でちゅるるちゃんを睨みつけた。ぼくの威嚇するような視線に、さしもの死神幼女も半歩引いた。それで溜飲を下げることにした。

「……ところで、なんでぼくが最初の対象者に選ばれたの?」

「慎太が平均的で、このうえなく平凡なダメ人間だからでちゅ」

「……………………」

「そーそー、慎太おにーさんが平均的なロリコンだから」

「ロリコンじゃねぇ……!」

 だいぶ疲れていたので、反論にもキレがなくなってしまった。そもそもロリコンに平均なんてあるのか?

「慎太さんが社会の役に立たない、居ても居なくても、むしろ居ない方がいい人だから選ばれたのだと思うのです。もっと誇りにするべきなのです」

 誇れねーよ。

 案外あなたも毒吐くのね、にゅるるちゃん。

「それで――」

「大変なのです! ちゅるるちゃん、みゅるるちゃん、もう九時なのです」

 ぼくの言葉を遮り、にゅるるちゃんは時計を見上げてそう言った。

 時間? 神様にも門限があるのだろうか? と思っていると、みゅるるちゃんが部屋を横切り、浴室の戸を開けた。

「せっまいお風呂」

「悪かったね、狭くて」

 風呂の狭さで窮屈するのはぼくであって、きみじゃないじゃん。

「あ~あ、もう! バカンスのつもりだったのに、こんなところじゃリフレッシュにならないわ」

「???」

 リフレッシュ? バカンス? この子は何を言っているのか?

 短い人差し指を左右に振るちゅるるちゃん。それだけの仕草なのだが、実に不器用であることが分かる。

「ちゅ・ちゅ・ちゅ、帰ってもいいんでちゅよ?」

「――このバカンスの目玉って、ちゅるるが任務失敗して泣きながら暴れるところなんだった……!」

「!」

 死神幼女と貧乏神幼女の間で高まる緊張感。おろおろする疫病神幼女。

 ぼくはため息をつき、ちゅるるちゃんとみゅるるちゃんの頭を両手で押し分けた。おでこをぶつけ合っていた二人をどうにか引き剥がす。

 危機が回避されて、にゅるるちゃんがホッと息をはく。

「……あのさ、九時だとなんかあるの? リフレッシュって?」

「九時はお風呂の時間なのです」

「……?」

「ちゅるるちゃんのお仕事が終わらなかったので、続きは明日なのです。明日に備えて、お風呂に入ってから寝るのです」

「………………」

「ちゅるるちゃんはお仕事ですが、みゅるるちゃんとにゅるるは休暇を取って来ているのです。だからバカンスなのです」

 ライバルの視察じゃなかったのかよ。哀れ、ちゅるるちゃん。

「ここにお泊りなのです」

「!!!!!!!!!!!」

 と、と、と、泊まる? この部屋に? 幼女が泊まる?

 こ、この子達は今晩、ぼくの、この部屋に泊まる気だと言う。

 ぼくは紳士だ。

 紳士だが。

 紳士だからこそ!

 紳士には、きちんと教え諭す義務がある。

 世の中には、きみたちみたいなイタイケナ女の子に邪まな感情を抱き、あまつさえ欲望を充足させようとしている男がいっぱいいるのだ、と。

 ここで大丈夫だったと学習し、後で別の場所で同じことをして、あんな目やこんな目に遭ったりしたら、それこそぼくの責任だ。

 ぼくが紳士すぎたがために、この子たちが男への警戒心を薄れさせてしまったら……。

 それだけは、それだけはっ!

 みゅるるちゃんの蔑みの視線で我に返った。

「か、神様とはいえ、きみたちは女の子なんだから、男の部屋に泊まるなんて――」

「あっちとこっちを行き来するのは余計な時間と手間がかかるでちゅ。慎太の余命が減るでちゅ。なるべくたくさんの余命を刈り取りたいんでちゅ」

「……あー、左様で」

 仕事が魂を刈るだけなら問答無用で刈られてたんだろうなぁ。

「と言うわけでお風呂でちゅ」

 腕組みをして、ぼくは一人でうんうんと頷く。

「お、お風呂かー、ま、まぁ世帯主としてお風呂を貸すのはやぶさかではないけど……」

「さっきまで萎れてたのに……キモイ」

 みゅるるちゃんがダンゴ虫でも見るような目でぼくを見る。そんな視線さえ心地好く感じるほどに、ぼくは上擦る。

「で、でもこの部屋、ご覧のとおり脱衣所がないんだよねー」

 色々と見えてしまうのは仕方ないと思う。

 そう、仕方ないのだ!

 大丈夫! ぼくには穢れた心も邪まな感情もない。だから、きみたちのお風呂が済むまで外出してようか、なんて決して言わない。

 それは可憐な花々に対する侮辱である!

 そんなぼくの配慮が通じたのだろう、ちゅるるちゃんがぼくを見上げ、にっこりと笑った。

 ぼくは微笑み返した。

 ちゅるるちゃんは小さな小さな手のひらを握り締め、思いっきり後ろに引き、おもむろに正拳突きを繰り出した。ちゅるるちゃんの肩の高さは、ちょうどぼくの股間と同じ高さだ。

 つまり――

 ぼこっ、と変な音がした。

 硬くてそして微妙に柔らかい幼女の拳がぼくのタマタマとサオサオを直撃していた。

 悶絶。

 腰の入った、いい正拳突きだった。

 実にいい正拳突きだった。

 脂汗と冷や汗が止まらない。

 少しは痛みが和らぐような気がして、ぼくは口を金魚のようにパクパクさせる。

 痛みは引かなかった。

 ちゅるるちゃんはどこからともなくガムテープを取り出し、あまりの痛みに動けないぼくを引っ立てた。

 激痛に悶えるぼくはされるがまま、なされるがままだ。

 そんなぼくの腕を後ろに回してガムテープを巻きつけ、縛り上げだした。

 お店だったら福沢さん三人前くらいの高度なプレイだぞ、と脳内で囁くもう一人の自分がいた。






 しゅるり、と衣擦れの音。

 幼女たちが服を脱ぎだしたのだ。

 ぼくの視界は真っ暗だった。

 当然だ。目隠しされているのだから。

 両手両足を拘束され、簀巻きにされ、目隠しされ、床に無造作に転がされた成人男性お一人様。

 まぁ、ここまでは許そう。

 許すこと自体、どうかと思うが許そう。

 だけど!

 なんで猿轡がいる?

 どうして猿轡を噛まされてるんだ!

 涎をだらだらと垂らしながら、鼻の穴を最大限に広げる男が部屋に転がっている。その横で何ら警戒もせず、お風呂に入るため服を脱ぐ三人の幼女。

 すごい絵面だと思う。

 まだ正拳突きの余韻が残っていて、股間がうずいた。

 変な意味は一切ない。正拳突きの後遺症だ。

 ぼくは今自分が置かれた状況にある種の感興さえ覚えた。感興の意味を知らないが。

 いつまでも感興に浸ってもいられないので、この状況に抗議するべく、ぼくはふがふがと喚き、芋虫の如く全身運動で前進した。

「……ロリコンの生き様、ここに極まれりね」

「すごく気持ち悪いのです」

「むー、慎太は往生際が悪いでちゅねー」

 次の瞬間、ゴスッと顔に衝撃が来た。

 しかしその痛みは一瞬で引いた。

 あれ?

 頬に触れるこの、ふにふにした頼りなくも儚くも、それでいて肉体の神秘と躍動を内包しつつ、喜び悲しみ憎しみといった人間の感情が脳内の電気信号と数十種類の化学物質で司られていることさえうんたらかんたら――

 目隠し越しでも分かる。

 これは!

 これは!!

 ほんのりと汗ばんだ幼女の足の裏あああああああああああああああああああ嗚呼嗚呼!!!!!!!!!!

 やばい、ヤバすぎる!!!!!!!!!!

 なんだこれ! なんだこれ!? なんだこれ?

 至福のやわらかさ。

 至高の肌触り。

 もし、「幸せ」というものに手触りがあるなら、これに相違ない――

 ハッ!

 ふぅ、危うく渡河するところだったぜ。

 どこへ、と聞かれても困るが、とにかく渡河するところだった。

 ぼくは現状を打破するため、マナーモードの携帯電話よりも激しく身を揺すった。

 明言しておく。ぼくが暴れているのは、もっと踏んでもらうためじゃない。

 こんな横暴かつ暴虐な行為に立ち向かい、己の尊厳を主張するためだ!

 それ以外のなにものでもない!

 ぼくが暴れるほどに、幼女は踏みつける足に力を入れてくる。

 ぐりぐりと踏みつけてくる。

 やましい気持ちなんてこれっぽっちもない!!

 決して、決して! 気持ちいいからとか気持ちいいだとかあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!

 猿轡で酸欠になってしまった。

 おかげで正気に戻れた。

 振動を停止し、荒い息を吐いて呼吸を整えていると幼女三人がなにやら小声で相談している。

 話し合いがまとまったらしい。

 体のあちこちを掴まれたのは分かった。

「?」

「せーの」

 よいしょ、よいしょ、と幼女が声を合わせてぼくを引きずりだした。

 カチャ、カラカラカラカラーと無機的な音が聞こえた。

 外の空気が流れ込んできて、ぼくの耳や頬に触れた。新鮮な空気が心地好かった。そのときやっと自分の体温がかなり上がっていたことに気づいた。

 と、そのままベランダに放り出された。

「ふがっ!」

 さすがに近所の目に思い至った。

 こんな状態で近隣住人に発見された日には通報されかねない。

 いっぺんに心胆が寒くなった。

 見えないが、ぼくは幼女たちに首を振って見せた。もう暴れないから部屋に入れて、というジェスチャーのつもりだった。

 当然のことながら、通じなかった。

 カラカラカラカラー、ピシャリ。

 締め出された。

「………………………………………………………………………………」

 誰にも発見されないよう、ぼくは心頭を滅却することにした。






 ベランダからサルベージされたのは、幼女三人がお風呂から出てパジャマに着替えた後だった。

 幸運にも通報されなかった。

 ちゅるるちゃんとみゅるるちゃんは喧嘩していたはずだが、なんだかんだ言って仲が良いらしく、三人一緒にお風呂に入ったようだった。

 十時前だというのに幼女たちが布団を敷きだす。

 と言うか、その布団はどこから出てきた?

 うちにはぼくの布団しかないはずだぞ。

 ちゅるるちゃんが押入れから掛け布団をえいやっとばかりに引っ張り出す。よく見てみると押入れの奥がなにやら、うねうねとうねっている。

 うねっている?

 じーっと目を凝らす。

 押入れの中にあるべき壁や床や天井、入れてあった荷物がない!

 そこにいきなりブラックホールと言おうか、宇宙そのものと言おうか、とにかく得体の知れない光と闇の混合物が蠢いているのだ。

 ぼくは声のない悲鳴を上げた。

「これは荷物転送用の亜空間ゲートなのです」

 あまりに驚くぼくを見て、にゅるるちゃんが説明してくれた。

 そう言えば、三人のパジャマやらお風呂セットやらもいつの間にか出現してたな。

「……ま、まあいいか。よく分からんけどSFだと思えば」

「えすえむ?」

「エスエフ!」

 ぼくの語気に濡れた髪の幼女は涙目になる。

「あー、違う! 怒ったんじゃないから! 訂正しただけだから! にゅるるちゃんは何も悪くないから!」

 大急ぎでフォローした甲斐あって、にゅるるちゃんは涙を引っ込めた。涙目幼女の破壊力を思い知った。

「慎太おにーさんは玄関で寝てね」

 みゅるるちゃんが神様なのに天使な笑顔でそんなことを言ってくれた。

 うん、布団の敷き方からそんな気はしてたよ。

 当然のように世帯主を端に追いやるのね、このド腐れラブリーたんは。

「まぁ、か弱い女の子をそんなとこに追いやれないし……」

 紳士らしさをアピールしているうちに、ぼくは途轍もなく大事なことに気づいてしまった。

 下手をすると人類の存亡より大事かもしれない。

 ぼくの目はほかほかのパジャマ幼女から浴室へと移動していた。

 人類の存亡より大事なもの――それは残り湯とか、残り湯とか、主に残り湯だ。

 幼女さんのエキスたっぷりな残り湯。それはきっと蜜のような香りと甘みを持っているに違いない。

 いまだ見ぬ、その聖なる液体に思いを馳せる。

 我が家の浴槽に神秘の蜜が満ちているのかと思うと落ち着かない。

「――さっ、ぼくもお風呂に入るか~」

 ごく自然に聞こえるよう細心の注意を払い、聖液に気づいていないふうを装って浴室に向かう。

「慎太おにーさんっ!」

「?」

 振り向くとみゅるるちゃんが天使かつ小悪魔な笑顔で、

「ロリコンに悪用されないようにお風呂のお湯、抜いておきました」

「!」

「塩素系漂白剤と酸性洗剤をたっぷり撒いておいたから舐めようとしても無駄ですよ?」

「……………………くっ!」

 なんという悪辣で徹底した対処! 塩素系と酸性を同時に撒くなんて危険極まりない。密閉された浴室はさながらガス室だ。換気扇をフル稼働させても今夜は浴室に踏み込めないじゃないか……!

 いやいや、それ以前に!

 舐めるってなんだよ!

 舐めねーよ!

 いくらなんでも…………とは言え、気づけば脱力していた。

 なぜだろう、不思議だ。

 立ち尽くしていると、寝る準備を整えた幼女たちが布団に入ってしまう。

「おやすみでちゅ」

「おやすみ~」

「おやすみなさいなのです」

「もう寝るの?」

「睡眠不足はお肌の敵よ」

 みゅるるちゃん、きみはまだそんなこと気にする年齢じゃないよ。

「慎太おにーさん、電気消してぇ」

「…………」

「今、エッチなこと考えたでしょ」

 みゅるるちゃんは頬を染めながら言った。

 でも、それが演技であることがぼくには分かった。

「んー、幼馴染み同級生シチュはダメかー。慎太おにーさんてば、ほんとに本気のロリコンなんだ~」

「ロリコンじゃねぇ…………!」

 もう否定するのも面倒になってきた。次からは何も言い返すまい。

 お猫様をはじめ、フェレットも鳩も幼女たちの枕元で丸まっている。

 本気でみんな寝る気らしい。

 神様といえども幼女。お眠な時間ということか。

 ぼくは風呂に入るのを諦め、自分の布団を玄関まで運んでから電気を消した。

「ま、真っ暗はダメでちゅ!」

「はぁっ!?」

「豆球! 豆球つけるでちゅ!」

 豆球なんて言葉、十年以上ぶりに耳にした。

「暗いと恐いの?」

「こ、恐くないでちゅ!」

「…………………………………………」

 どこをどう聞いても恐がってるのだが。

「は、早く豆球つけるでちゅ! にゅるるちゃんが! そう! にゅるるちゃんが恐がってるでちゅ!」

「ちゅるるちゃん! にゅるるは恐がってないのです!」

「うるさいのよ、おねしょコンビ」

「お、おねしょなんてしないでちゅ!」

「にゅるるもしないのです!」

 ばたばた、がさがさ、ばっさばっさ。

 電気を点けると、ちゅるるちゃんはみゅるるちゃんのパジャマを脱げるくらい引っ張り、みゅるるちゃんは足でちゅるるちゃんの顔を押し返し、にゅるるちゃんは女の子座りで枕を抱きしめていた。お猫様はテレビの上で欠伸をし、鳩は狂ったように飛びまわり、フェレットは一切関知せずに鼻風船を膨らませている。

 何なんだ、きみらは。

 明るくなって我に返ったのか、ちゅるるちゃんはみゅるるちゃんのパジャマを放した。みゅるるちゃんは慌てて衣服の乱れを直す。見てませんよとアピールするため、ぼくは咄嗟に顔を背けた。が、貧乏神幼女のあられもない姿は網膜に焼き付いた。

 顔を真っ赤にしたみゅるるちゃんがぼくをキッと睨んだ。

「――見たでしょ!」

「な、なにを?」

「みゅーのヌード!」

 ぶっ。鼻水が出た。半裸をヌードとは言わないはずだ。ちなみにぼくは、半裸は全裸よりエロいと思う派です。

「みみみみ、見てない、見えてない。ほんとだって、本当! 神に誓ってもいい!」

 あれ? そういやこの子たち神様だったよな?

「むー」

 みゅるるちゃんは下唇を突き出して呻く。真実を追求するのと、今の出来事をなかったことにするのと、どっちが得策か逡巡しているようだ。

「慎太が悪いでちゅ! いきなり真っ暗にしたでちゅ!」

「やっぱ恐いんじゃん」

「こ、恐くないでちゅ!」

「にゅるるも恐くないのです」

「おねしょコンビのくせに」

「!」

「!!」

 ちゅるるちゃんがみゅるるちゃんに掴みかかろうとする。みゅるるちゃんも雪辱戦とばかりに待ち構える。ぼくは間に入り、二人の頭を押さえて衝突を未然に防いだ。

 死神幼女と貧乏神幼女が腕をぶんぶん振り回す。

「うー!」

「きー!」

 二人の腕がぼくを乱打するわけだが、耐えた。理不尽な痛みだが、耐えた。耐えた先に待つ恍惚のためにではなく、おねしょちゃんと半裸ちゃんのために耐えた。ごちそうさまでした、という感謝を込めて。

 気が済んだというより疲れたのだろう、二人とも引き下がる。

「……寝るでちゅ」

「……お肌荒れちゃうじゃない」

 そんなことを言いながら、にゅるるちゃんが綺麗に整えた布団に潜り込む。

 ぼくは無言で蛍光灯からぶら下がる紐に手を伸ばす。

 再び電気を消した。今度はちゅるるちゃんリクエストどおり、豆電球モードだ。

 オレンジの優しい色が部屋を満たす。なんとも懐かしい色だった。

「おやすみ」

 自然にそう言っている自分に少なからず驚く。

 寝る前の挨拶を人にするなんて何年ぶりだろう、と思った。

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