第20頁目 ― 8 ― ん? ―
― 8 ― ん? ―
坂の多い町だな。オレは坂道を上って(のぼって)は、また上り・・・
残暑だと言うのに、暑すぎる・・・まだ、8月の上旬だって言うのに・・・
多分、昼間も三十度を超える気温だろう・・・
滲み(にじみ)流れる汗を、白のジャケットの内ポケットからハンカチを出し、流れた汗を拭う(ぬぐう)。
うっすらと潮風がオレを包みあげる。
潮の香りって、たまに臭覚を鈍くさせる。
まあ、海の近くだからしょうがないと思ったりはする。
黄金岬に続く、46度以上の角度は有るだろうの急傾斜のカーブを上り終えると、
はっきり言って山。の、急斜面の道を、オレの見る方向から右に曲がり上る・・・
上り終えるまで、二十分はかかったと思う。とりあえず二車線はあるが、狭くて車が通るたびに路肩に身を
奥の方に進むと林に囲まれたアパートが見える。ようやく見えてきたオレの住むボロアパート。
外見は、平たい木が壁になっているレトロっぽいボロアパート。
どうせなら、外見も直してほしかったと、つくづく思う。
木造作りのボロアパートの壁面。に、その近くに苔(こけ)で覆われた滑車つきの井戸が存在している・・・ボロアパートから百メートルぐらいの距離に、何気なくオブジェしている。
てか、その近くに手漕ぎ式の手動ポンプの錆びきった水道も存在している。
古井戸とポンプ式の水道を見ていると、小さい頃にテレビで見た時代劇に出ていたセットを思い出す。
アンティークでレトロの古風なオブジェ?
それとも、今後の良からぬ予感?。
まあ、考えれば考えるだけ考えがまとまらなくなってくる。
考えるは、とりあえずやめておこう。
ふとオレは、ボロアパートを見ると、異変に気づく。
目を何度もこすり、再び見る・・・
「ん?」
あれ?二階にある部屋って五部屋のはず。
なのに、六部屋の数を目で追い数えている。
いくら数えても六部屋だ。
オレは、足を止めてジッとボロアパートの方を見ていた。
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