第14頁目 ― 6 ― 幽霊貴族 ―

 ― 6 ― 幽霊貴族 ―


 優紀さんが出かけちゃった・・・いったい何処に行くのかしら?

 私(わたくし)は、優紀さんが部屋に居なくて、ちょっぴりと寂しい思いだった。

『 ふぉふぉフォフォ・・・』

 独特の笑い声を上げて私(わたくし)の横に、全身を陽炎のように歪ませ(ゆがませ)、白い煙が人の形を作り上げて、1人の老人が現れた。

 『 ル・ジャル伯爵 』だ!。

 透き通った白い身体(からだ)に、黒いマントが靡いている(なびいている)。

 逆U型にハゲた頭がオデコと見分けが付かない・・・

 綿雲のような形の一本に繋がった眉毛と、口ひげと顎鬚(あごひげ)が一体化して、綿飴のようにフンワリとしている。眉毛も口・顎鬚もモミアゲから髪の毛と繋がっている。

 ロマンスグレー一色のキレイな色合い・・・

 いつも目を瞑って(つぶって)いる。ようにも思えるような小さな目。

 まさしく、ル・ジャル伯爵。

『レミーヌ。何を独り言を言っておるのじゃ?』

『えっ?単なる人物解説よル・ジャル伯爵ww』

『なら、許そう。続けなさい・・・』

『はーーーい!。』


 そうそう、遅れましたが、私(わたくし)の名前は『 レミーヌ 』と言います。



『また、独り言なのかい?レミーヌ?』

 薄紅い色のドレスを華麗に身にまとって、ラ・フィーヌ伯母様(おばさま)の登場・・・

 いつも命令形の口調に、大の人間嫌いの伯母様(おばさま)。

 ブロンドの髪をいつもフワッと大きく後ろにセットしている。

 まあ、フワッとしたリーゼントにも見えたりするけど^^

 そこは、ご愛敬って事で。

 頭を上から見るとハート型にも見える、素晴らしいセット。

 いつも鋭い目つきには、私(わたくし)もちょっとビビリが入いります。

 コメカミから伸びる長い髪は、ウェーブがかかっている。

『レミーヌ。だから誰と話しているのだい?』

 ラ・フィーヌ伯母様(おばさま)が睨む。

 私(わたくし)は苦笑いをひたすら見せる。




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