第12頁目 ― 5 ― 保池(ぼち) ―

   ― 5 ― 保池(ぼち) ―


 オレは、誰かに頬をつねられたような痛みと共に目を覚まして起きた。

 もう、次の日の朝になっていた。

 昨日のは夢なのか?

 それにしても、まったくヒドイ悪夢を見ていた・・・オレの身体(からだ)が丸で粘土のように、ゴムのようにねじれていく夢が、未だに身体(からだ)じゅうに激痛が走っているみたいだ。

 半日以上も寝ていたんだな・・・

 まだカーテンの無いこの部屋に朝陽(あさひ)が眩しいく暑く射している。

 ケータイの時刻を見ると、八時半を回っている。

 今日は、日曜日だ・・・

 散歩でもして来るか。


 オレは、部屋を出る。

 と同時に隣の部屋の保池(ぼち)さんも部屋を出て来た。

 その時、廊下で不気味に動くガイコツのようにも見えた。


 保池(ぼち)さんがオレの顔を見ると同時に訊ねる(たずねる)。

「昨日の夜はは随分うなされていたようですな。大丈夫ですか?

 それに、ドタバタと暴れていたような気もしたんですが、

 何かあったんですか?」

 保池(ぼち)さんの言葉に冷や汗が流れる・・・

「えっ?!ドタバタ?」

 確か、悪夢の中で誰かに叩きつけられていた。

 ・・・えっ?、現実?悪夢?

 オレの中で交差しあう不安・・・

「きっと、悪夢にうなされていたかもしれません。ははは・・・」

 オレは顔を引きつらせて応える。

 保池(ぼち)さんが無愛想に笑みを浮かべると、

「そうですか。それなら、いいのですけどね」

 意味有りげな言葉を残して、歩いていく保池(ぼち)さんの後ろ姿・・・


 ・・・ってか、お、おい、何かあるのかよ!?

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