第9頁目 ― 4 ― 奇怪(きっかい) ―
― 4 ― 奇怪(きっかい) ―
優紀さんは部屋に戻り。ただえさえ疲れているのに余計に疲れてしまった身体(からだ)を休めるために、また寝てしまった。
眠りについて何時間か経過した。
満月が夜空に輝き、その月に雲が流れ・・・包み上げるように被さり、満月が淡い黄色に光り染まった。
優紀さんの部屋の窓ガラスだけが軋み(きしみ)、カタカタカタと唸り(うなり)を上げた。
外は一切の風の吹いている様子もないし、地震の様子もない。
満月がすっかり雲に隠れてしまい、夜空は丸で暗黒の世界を思わせるような暗さになった。
夜空には、輝きを隠して星たちが見えない。
曇りに曇った暗闇になっている。
優紀さんの部屋の窓ガラスの音が微動して、『 カタカタカタ 』と言う窓ガラスを叩くような音から、『 ギギギィィィーーーーーーッ 』と軋む(きしむ)音に変わったかと思えば、
ギリギリギリッ
キュキュリリリ・・・
と窓ガラスを釘で引っかくような音に変わった。
その音が眠っている優紀さんの脳裏を横切った。
そして、驚きと共に耳を押さえて、
「なんなんだぁぁぁ~・・・この音は・・・頭が割れそうだーーー」
頭を抱えて、優紀さんが苦しんでいる。
「と、とめろーーーー!この音をとめろーーーー!!」
私(わたくし)は、優紀さんが苦しんでいる姿を見て驚いているだけだった。
私(わたくし)にも解明できない音。
けど、私(わたくし)はなんともない・・・どうしてなのかしら?
優紀さんは、錯乱状態になり、今にも砕け割れそうな頭を押さえながら、窓ガラスの側まで来てガラスを押さえた。
内側の曇りガラスを必死の思いで開け、外側の透明なガラスを開けようとした時、まるで身体(からだ)じゅうに電流が走り抜けたような痺れ(しびれ)方をしたその瞬間に、壁に弾き飛ばされて畳に叩きつけられた。
バシュッ
ドガッ!
「いったい何なんだ今の電流は?・・・」
感電したような顔を見せると、優紀さんの脳裏に突然苦笑う女性の声が聴こえた・・・
幻聴?
えっ・・・待って!
もしや・・・
『 無駄な抵抗はおやめ!下等動物の分際(ぶんざい)でたてつくんじゃないよ!
おまえは、死ぬのだよ・・・』
「だ、だれだ?!。な、なにをぉぉぉ?!~死ぬだって?
い、いや、い、生きてやる!!死ぬのだったら、逆に生きてやる!!」
『 おだまり!!下等動物! !』
優紀さんが外側の透明なガラスを苦しみながら見ると、微か(かすか)に白く映るフランスは中世の貴婦人の姿が映った・・・
フランス中世の貴婦人?
薄紅いドレスを身にまとっていた貴婦人が映った・・・
ちょ、ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇェ!ーー
も、もしかして伯母様(おばさま)! ?
もし、伯母(おばさま)さまなら、
私(わたくし)は必死になって止めようとした。でもその瞬間、私(わたくし)までもが動かなくなった。
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