第8頁目

 ドアを数回叩くと、ヌオッと無言のままにドアを開け、オレはいきなり開けられたドアに吹っ飛ばされ、『 ガギッ 』と鈍い金属音の響く柵に身体(からだ)をぶつけた。

「いったい、どうしたんですか?」

 隣の住人が出てきた。

「いてーーーーっ。いきなり開けるなよ・・・」

 オレは打撃した腰を押さえて、隣の住人を見る・・・

 ・・・いきなり目に止まった週刊誌を真ん中から開いたような髪形。癖毛がしおりのようにも見える。

 顔は骨々していて、ほっそりとこけた顔がガイコツ顔にも見える。

 ひょろろ~ん。とした猫背の身体(からだ)がくたびれた様にも見えた。

 目をギョロっとさせてオレをジッと見ている。

 目の下には大きなクマがぶら下がっていた。

 ・・・なんとなく、ムンクの叫びにも似た顔つきだ。

 オレは、思わず唖然とする。

「今日、入居して来たお隣さんですね?」

 オレは、唖然としながらうなずいた。

「ちょっと、音楽のボリュームを小さくしてもらえませんか?」

 そう言うと、ガイコツ顔を不気味に笑顔に変え、

「音楽なんて一切聴いてないよ」

 と応える。

 ふと部屋の中を覗くように見ると、一切のCDコンポやテレビやラジオ、

 まして、MDやパソコンが有りそうな雰囲気も気配さえも無かった。

 ただ、目に付いたのは、車のパーツと車の雑誌が散らばっているだけだった。

「そ、そうですか・・・。そ、そうですよね・・・」

 顔を引きつらせ、

「どうも、失礼しました」

と言って、ドアを閉めた。


 首を傾げながら、ふと名札に目を向ける。

 『 保池(ぼち)』

 と書いてあった。

 墓地?

 まあ、ガイコツにお似合いの名前だろうと思いつつ、部屋に戻る。

「でも、変だなあ~。確かに聞こえたのに、隣のから・・・」

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