第7頁目 ― 3 ― 隣の住人 ―

   ― 3 ― 隣の住人 ―


 オレは、ぐっすりと寝ていた・・・時間を忘れて。

 いきなり、不思議でもあり、異様でもある奇妙な音楽がうるさくて目を覚ました。

 黒板を引っかくような耳障り(みみざわり)な音楽。

 激しく壁に響き、部屋の中がまるでスピーカーの拡張の役目をしているようだった。

 オンボロアパートとは言えど、3DKのバス・トイレ付きのアパート。

 創業数年の間に、リフォームを繰り返したのだろうの部屋。

 でも、防音対策はしていないらしい・・・

 オレは思わず、隣の部屋から聞こえる音楽に耳障りになり、壁を『 コンコン 』と叩いた。

 ・・・壁の音を聞けば、直ぐに判る。

 壁がベニアやモルタルの音は、直ぐに聞き分けられる。

 叩いたときに微妙に違う音。

 壁の中に何も入っていないと、いい音が響き渡る。

 壁の中に防音や防火、そして断熱材などをしていれば、響かない硬い音がする。

 この壁はスカスカのような鈍さの混じった音がする。壁はベニアでもモルタルでもない・・・

 スカスカなのに鈍く硬い音がする・・・もしかしてドロ? 土? 藁土?

 でも、土壁に壁紙を貼っているような音だ。

 まさか、リフォームされているのに土壁はそのままなのか?

 突然、オレの脳を困惑させるような、音楽が盛大に響く・・・

「うわーーーー。頭がわれそうだ!」

 オレは、壁を蹴りたい気持ちだったが、壊れそうなので外へと出た。


 オレは、隣の部屋のドアを叩き、

「この、やかましい音楽をとめてくれーー」

 と叫ぶ。

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