第4頁目

『 ぁ~ん・・・ドア閉めちゃった (_ _。)・・・ シュン 』

 んもう、どうしてなの?

 私(わたくし)は、優紀さん(あなた)の目の前にいるのに・・・

 私(わたくし)は頭にきて、ドアを何度も何度も壊れるほどの勢いでドアを叩いたの。

 そしたら、優紀さんが再度起き上がってドアを開けたの。

 優紀さんは、私(わたくし)があまりにもしつこくドアを叩いたので、

「うるさい!!誰だよ!!せっかくの睡眠を邪魔するヤツはよ~~!」

 とドアを開けて廊下に響き渡るほどに怒鳴ったの。

 私(わたくし)、とても驚いちゃった。優紀さんが、こんなに短気だったとは思わなかったし、怒った顔も怖かった。

 睡眠を妨害されて不機嫌になっていた優紀さんは、ドアから廊下を見渡し、『 私(わたくし)』でなくて、管理人さんの仔猫を見つけたの。

 優紀さんって猫が大好きらしくって、部屋の中に連れて行っちゃった。

『・・・もぅ、どうして私(わたくし)を無視するの?

              あ~ぁ。でも、しょうがないかな?』


 仔猫を部屋の中に連れて行った優紀さんは、仰向けになって仔猫を天井に向かって高く上げていた。

「仔猫(おまえ)!。管理さんのところの猫だな

 さっき、挨拶に行った時見かけたよ。

 仔猫(おまえ)可愛いなあぁぁ」

 優紀さんが仔猫の首輪に付いている名札に目を向けると、名札には『 宇宙(コスモ)』と書いてあったの。

「へ~。仔猫(おまえ)、『 宇宙(コスモ)』って言うのか?珍しい名前付けるな管理人さんも・・・

 きっと、未来を予知した名前に違いないな」

 優紀さんは、仔猫の宇宙(コスモ)に笑顔しながら、宇宙(コスモ)に頬ずりをした。

 わぁぁぁぁぁぁーーー。優紀さん、

 なんて楽しそうな顔をしているのだろう・・・。

 優紀さんの、あんな楽しい笑顔を見ていると私(わたくし)までも楽しくなってきちゃう。

 優紀さん。この仔猫の名前は、私(わたくし)が考えて付けたのよ。

 ・・・と、言っても優紀さんに聞こえる訳なんてないわね。

 けど・・・優紀さんだけにでも、私(わたくし)の存在を判ってほしいなあ。

 私(わたくし)は、そう思った瞬間、優紀さんに『 私(わたくし)』の存在を教えるために、優紀さんの方へと近づこうとすると・・・

 宇宙(コスモ)が瞳(め)を鋭く輝かせながら、私(わたくし)の方に向かって唸り声をあげて睨みつけているの。

「おい、宇宙(コスモ)一体どうしたんだ?

 急に壁に向かって、唸って? 何か居るのか?」


 ぁ~あ。だから、猫と犬とかは大っキライ!

 外を歩いていても、鋭い瞳(め)を輝かせて犬が吠えたり、猫が毛を逆立てたり・・・飛び掛ってきたりもするし。

私(わたくし)が宇宙(コスモ)の方をジッと見た途端、宇宙(コスモ)が優紀さんの腕の中から離れて、私(わたくし)に飛び掛ってきた・・・

「あっ!宇宙(コスモ)何処行くんだ?!」


『きゃーーーーーっッッッッ。』


 宇宙(コスモ)は、私(わたくし)の身体(からだ)を透り(すり)抜けて、

 ドガッ

 バタッ

 という音と共に、壁に激しくぶつかり、畳に落ちた・・・


『ぁ~あ。宇宙(コスモ)ったら、そのまま壁に突撃して倒れちゃった・・・』


「馬鹿だなぁ~宇宙(コスモ)なに壁にぶつかって遊んでいるんだ?」

  優紀さんは、宇宙(コスモ)を抱きかかえて心配している・・・

 ぁ~ん。んもう、

 優紀さんったら、宇宙(コスモ)のことばかり心配しちゃってサ。

 私(わたくし)に飛び掛ってきたのよ!

 出来れば、私(わたくし)のことも心配してほしいわ・・・

「おい!宇宙(コスモ)大丈夫か?」

 あーーー。また、頬ずりしているぅぅぅぅ・・・

 ・・・

  あ~~ぁ。

 わ、私(わたくし)ったら、何か情けな~いぃぃぃぃ。

 たかが、仔猫の宇宙(コスモ)にジェラシー感じているし・・・

「宇宙(コスモ)。おまえ名前負けしているんじゃないのか?」

 優紀さんが笑顔して言う。

 悪かったわね!!私(わたくし)が付けたのよ!!

「おい、宇宙(コスモ)。管理人さんのところに帰りたいのか?」

 優紀さんが笑顔しながら言うと、

『 ニャ~ァァァ~。』と返答するように宇宙(コスモ)が鳴いた。

「よし、そっかそっか じゃあ、オレが管理人さんの所へと連れて行ってあげるな」

ギギギーーーッ

バタン!

「ずいぶんとドアの締りの悪い部屋だな・・・」

 優紀さんはドアを開けて部屋を出ると、廊下を渡りさっさと管理人さんのところへ行っちゃった。

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