第40話 上杉鷹山に学べ! なにを?

 営業部長との新たな現場がスタートしたわけですが、この人、もともと建築屋じゃありません。自分でも公言しています。


「俺は建築のこと知らないから。スランプって聞いて、野球選手がなるものってしか思ってなかったよ。わはは」


 ちなみに「スランプ」とは生コン(固まる前のコンクリート)の柔らかさを示す数値です。厳密な説明は省略。


 というわけで、この人、ローカルエンジニアのやり方にほとんど口を挟みません。任せっきりです。ていうか、しょっちゅう出かけて、ほとんどいないし。


 施主はフィリピン人なので、私が打ち合わせをすることはありません。

 というわけで、暇になりました。


 マネージャールームの、部長のデスクの上にはハードカバーの本が2冊並んでいます。

『上杉鷹山のなんちゃらかんちゃら』、『なんとか空港のなんとか』


 この人の愛読書は黒豹シリーズじゃないのかよ?


 と思いつつ、手に取ってみます。


 なんとか空港のほうは、アメリカのそれこそなんとか空港が、経営破綻の状態から立て直すまでを書いた本でした。

 上杉鷹山のほうは、そもそも上杉鷹山って誰だ? と思いつつ、読み進めていくと、江戸時代の藩主で、ぼろぼろだったなんとか藩を再生した人らしい。


 いや、なかなか面白い話でした。

 きっと営業部長、建築のことは知らないので、現場運営をこういう本をヒントにしつつ、うまくやっていこうと思ったのでしょう。


 う~む、ええ話や!


 正直どんなことが書いてあったか、さっぱり覚えていませんが、現場をうまく運営するヒントになることが書かれてあったのでしょう、きっと。

 それを実践すれば、いい現場になるに決まってます。


 きょうも現場ほったらかしだけどなっ!

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