第26話 南野、カジノデビューする

 私はほんらいあまりギャンブルをしない人間です。

 競馬、競輪はおろか、パチンコすらしません。まあ、フィリピンにはパチンコはないわけですが、かわりにカジノがあります。


 ギャンブルに縁のない私が、なぜよりによってカジノなどにいくはめになったのか?


 答えはM籐さんがギャンブラーだからだっ!

 この人、じつはゴルフなどよりよっぽどギャンブルが好きらしい。

 なんかのとき、M籐さんに誘われてカジノに行きました。


 中に入ると、M籐さんは自分のギャンブルに熱中し、こっちはほったらかしです。

 M籐さんは「大小」というやつをやってました。サイコロの出た目が、大か小かを賭けるやつです(偶数、奇数もあったかも)。


 単純といえば単純なギャンブルです。あまり熱中できそうにありません。

 かといって、ポーカーやブラックジャックをやるには言葉もよくわからなければ、細かいルールもわかりません。


 そこで私が選んだのはルーレット。

 メジャーなギャンブルですし、取っつきやすい。

 ただ、やってみてわかったのですが、これ、ディーラーが玉を投げる前にチップを置いてもいいのですが、投げた後も、これ以上後は賭けられませんという合図の音が出るまではチップをおけるらしいのです。


 こ、これはひょっとして、ディーラーが入れる目を読めということか?


 つまり、どの数字に賭けられているかをディーラーがチェックし、すばやくどこに入れるか判断して玉を放る。

 つまりそれを推理すればいいはずだ。


 ギャンブルやったことなくても、ギャンブルマンガだけは読んだことがある私の脳は熱く回転する。

「ここだぁあ!」

 しかし、私の推理は外れ続ける。


 さいわい、私はギャンブルにはまるタイプじゃなかった。ここで熱くなってかけ続けて負け続けるほど愚かではない。

 というか、どう考えても、金捨ててるだけのような気がしてきます。


 いくら負けたか忘れましたが、それなりに負けたところで、もういいや状態。

 あとは適当に雰囲気を楽しんで終わり。

 帰りにM籐さんにいいました。

「ディーラーの入れる目を読むのって難しいですね」

「は?」

「だって、あいつら好きな目に入れられるんでしょう?」


「そんなディーラーいるわけないだろ?」


 ギャンブルマンガを読み過ぎちまったぁああ!

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