第25話 すごい男はゴルフがしたい

 私もダイビング、フィリピンデビューを果たしましたが、飛行機で行く都合上、そうそう頻繁にはいけません。日曜日の過ごし方としてはまだまだ縁遠いものです。

 それに引き替え、ゴルフ組は、日帰りで十分楽しむことができるので、日曜日にときどき出かけていきます。その場合、車を持って行かれますので、だいたい寮でごろごろしている羽目になるわけです。


 その日も、M籐さんとN君はゴルフに行く計画を立てていました。

 そこに乗っかったのが、すごい男ことSさん。

 その日は、会社の車を繰り出して、三人でゴルフに行くはずでした。


 まあ、はっきりいって、私にはなんの関係もないことです。


 まあ、お世辞にも仲がいいとはいえない、M籐さん、Sさん、両巨頭も、休みの日くらいは仲良くゴルフでもしたいのでしょう。


 その日、ふたりは車で出かけました。その頃、もうひとつの寮にいたSさんを拾って、ゴルフ場に行ったんでしょう。


 すくなくとも私はそう思っていました。


 しか~し、私が寮でごろごろしていると、そこにSさんがやってきました。


「M籐さんはどうした?」

「出かけましたけど……」

 あれ? いっしょにいったんじゃ……?


「なにぃい?」

 ひいいいい!


「俺はどうやってゴルフに行けばいいんだっ!」


 そんなこと、俺の知ったことかぁああああああっ!


 なんという理不尽。なぜ私が怒られなくてはならないのか?

 なぜ二人はSさんをおいて出かけたのか?

 たんに連絡行き違いなのか?

 それとも嫌いだから置いてけぼりにしたのか?


 なんにしろ、俺はこれっぽっちも関係ねえっ!


 でも、怖いからいえない。



 この件以来、二人の仲がますます悪くなったのは、気のせいではあるまい。


 ちなみにSさん、あとでフォローしてきました。

「あんときは悪かった。他にあたるやつがいなかったからな」


 よく考えたら、ちっちもフォローになってないな。

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