第24話 すごい男、激怒する

 新しく始まった、Sさんの現場。比較的順調に進んでいました。

 私とY君も、未熟ながら、こっちのやり方になんとか慣れつつありました。

 一方、設備担当で入っているOさんと新人。

 まあ、新人君はイニシャルがかぶるので、ネーミングを設備小僧としましょう(どういうセンスだよ!)。

 Oさんは海外ははじめてでも、日本での経験は豊富なので、設備業者の日本人担当と打ち合わせをして、仕事を進めていけます。設備小僧をうまく使いながら、なんとか仕事をこなしていきました。


 ある日、設備業者の日本人担当者があるミスをしました。


 正直それがどんなものだったか、じつはさっぱり覚えていません。

 ただ、それなりに深刻な失敗だったような気がします。

 とうぜんSさんの耳にも入ります。

 現場の日本人スタッフ(Sさん、私、Y君に設備のOさん、設備小僧)と設備業者の担当者で、打ち合わせをすることになりました。


「もうしわけありません」と頭を下げる、設備業者の人。

 Sさんも内心怒っていますが、とりあえずはそれを表に出していませんでした。


 設備小僧、内心焦っていたようです。

 ひょっとしてこいつにも責任の一端があったのか、それとも大事になって、なにかかっこつけないとまずいと感じたのか、よくわかりませんが、こういった。


「業者さん、ちゃんと責任とってもらいますからねっ!」


 新人だけど業者にびしっといえる、俺ってかっこいい。と思ったかどうか知りませんが、ちょっとドヤ顔。


「おめえは、どぁまってろぉおおおおおおっ!」

 Sさん、机をばしんと叩いた。


 こ、こええっ!


 怒りは業者じゃなくて、設備小僧にいっちまった(笑)。

「おめえになにがわかるってんだ。調子に乗ってんじゃねえ!」


 設備小僧、しんだ~っ!


 けっきょく、設備小僧は完全無視され、SさんとOさんと業者の三人で打ち合わせ。まあ、私もいるだけだったけどねっ。


 めげるな、設備小僧。きっといいこともあるさ。


 ただし、設備小僧。仕事がいい加減だったのか、Oさんからも信用されず、けっきょく早期帰国組になってしまいました。


 いい話だな~っ。(どこがじゃ?)

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