第23話
その頃、龍愛たちは
仲間の姿を求めて 慣れ親しんだ、
しかし忌々しい記憶の渦巻く故郷をさまよっていた。
「龍愛、いつ奴や妖が出てくるか分かんねえ。用心しろよ」
「朱雀にそんなことを言われるなんて、私もまだまだだな」
笑みを交わすが、片割れの緊張は手に取るようにわかる。
「……何か紛れていないか?」
「なんだ俺の勘違いじゃなかったのか。どこのどいつだ?」
「考えたくもないな」
ただならぬ気配を二人は悟っていた。
*
「おかしいな」
「どうしたの玄武」
「急に寒くなった」
「確かにね、こんな嫌な場所だもの。寒くて当然。風邪をひかないようにしないとね~」
ニコニコと笑みを浮かべていた白虎だが、次の瞬間目にも止まらぬ速さで刀を抜き、何かを切り伏せる。
「出てくると思った」
困ったように笑ってみせた彼の足元には、中型の妖が転がっていた。
と、その時、先を歩いていた玄武が悲鳴を上げて白虎の元へ突っ込んできた。
「やばいやばい!やばい!!」
「確かにやばいけど慌てずにいこう。ケガをしてはいけないからね」
その目に映るのは、怒濤のごとく押し寄せる妖の大群だった。
二人は背中をぴたりと合わせると、大波を迎え撃つべく武器を構えた。
(続)
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