第23話

その頃、龍愛たちは

仲間の姿を求めて 慣れ親しんだ、

しかし忌々しい記憶の渦巻く故郷をさまよっていた。


「龍愛、いつ奴や妖が出てくるか分かんねえ。用心しろよ」

「朱雀にそんなことを言われるなんて、私もまだまだだな」


笑みを交わすが、片割れの緊張は手に取るようにわかる。


「……何か紛れていないか?」

「なんだ俺の勘違いじゃなかったのか。どこのどいつだ?」

「考えたくもないな」


ただならぬ気配を二人は悟っていた。





「おかしいな」

「どうしたの玄武」

「急に寒くなった」

「確かにね、こんな嫌な場所だもの。寒くて当然。風邪をひかないようにしないとね~」


ニコニコと笑みを浮かべていた白虎だが、次の瞬間目にも止まらぬ速さで刀を抜き、何かを切り伏せる。


「出てくると思った」


困ったように笑ってみせた彼の足元には、中型の妖が転がっていた。

と、その時、先を歩いていた玄武が悲鳴を上げて白虎の元へ突っ込んできた。


「やばいやばい!やばい!!」

「確かにやばいけど慌てずにいこう。ケガをしてはいけないからね」


その目に映るのは、怒濤のごとく押し寄せる妖の大群だった。

二人は背中をぴたりと合わせると、大波を迎え撃つべく武器を構えた。


(続)


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