おまけ
「ねぇ、修司さんの初恋っていつなの?」
「そんなこと…聞いてどうするんですか?」
「なんとなく、気になって」
答えてもらえるとは思っていない。私は読みかけの本へと視線を戻した。
「…貴女ですよ」
小さく聞こえないぐらいの声が耳元で響く。
え、と視線を彼へと向けると、
すっ、とまたこちらへと体を傾け私との距離を縮ませて彼が囁く。
「聞こえませんでしたか?貴女が好きです、と言ったんですよ」
これで満足ですか?とでも言いたげに、唇が触れ合いそうなほど近い距離で彼が微笑んだ。
「それで、貴女の答えは?」
かあぁぁと首筋や顔に熱が集まって私は何も言えないままうつむいた。
そんな私の姿を見て彼はやっぱり微笑んでいる。
図書館で毎日顔を合わせていた時は、こんなに意地悪な人だとは思わなかった。
私は携帯を取り出すと彼へとメールを打つ。
“私も好きです”
短い一文に彼が嬉しいです。と触れるだけの口づけをくれる。
「でも、やはり貴女の声で聴きたいですね…」
んーと少しだけ考える素振りをして、
「今夜は覚悟しておいて下さい」
彼がまた耳元で囁いて、私の体温が更に上がった。
初恋未満 篠宮 ゆたか @mikuromikuro
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