第51話 考えない方がいいよ!ってかうらやま!!


 「また、負けちゃった・・・・・・」


 先刻から続くババ抜き。

先輩の負け続きである。

一つ言わせて貰うと、・・・・・・顔で分かる。

 うん。

ポーカーフェイスになってません。

そういうところも可愛いけどね。


 もう一勝負始めようとしたところでアロラが風呂からあがってきた。


「ふぅ、いいお湯でしたぁ」


 おお、湯上がりのアロラもいいな。

これはこれで、うん。

 なんて思ってるとまた睨まれそうなので止めとく。

時計を見ると、午後10時を過ぎたくらい。

まだまだ、寝る時間じゃないな。


 「う・・・・・・。眠たくなってきちゃった・・・」


 え?


 あ、そうか。先輩は・・・・・・。

 アニオタあるあるだよね、これ。

友達が泊まりに来たときとかに。

自分では普段起きてる時間だから、いいやぁとか思ってたら他の人は眠たそうにしてるってね。

時間ずれてんだよなぁ。


 「じゃ、そろそろ寝ますか」

 「うん、そうさせて貰います・・・」


 外からははまだ、雨音が聞こえてくる。

明日の朝まで続くかな、これは。

 部屋の真ん中に置かれた机を外に移動させる。

布団を二人分敷いて、と。

アロラは俺のベッドで寝ればいいよね。


「それじゃ、俺は隣の部屋で寝とくから」

「「えっ!!?」」


「え!?何っ!?」


 アロラと先輩が心底驚いたような顔をしている。

そんなに変なことを言っただろうか。

俺なりの配慮のつもりなんだが。


 「あ、んーん。なんでも、ないよ?」

 「なんでもないですよ?」

 

 なんでもあるな、これ。


 「まぁそれじゃ、お休み」

 「「お、お休みなさい」」

 「お休み、なの!」

 

 そして、俺は部屋を出た。

寝るにはまだ早い時間だけど。

まぁ明日は早いだろうし、いっか。


 隣の部屋に布団を敷く。

何も無い部屋だからか、広く感じるな。

和室だし。

なんか、和室って広く感じるよね。


 見慣れない天井を視界一杯に収めながら、俺は眠りに落ちた。

 






 物音がする・・・・・・。

何時間か経過しただろうか。

俺は眠りから覚めた。

 何かを擦るような、音が聞こえたからだ。


 ズル・・・・・・。


 ズル、ズル・・・・・・。


 え?

何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ!!!!

怖い!怖いよ!?

和室だからか、恐怖2倍だよ!!


 ズルズル・・・。


 うぉぉお、近づいてきょるっ!!


 ズッ・・・。


 あ、耳元。

わりぃ、俺死んだ。


 「ふぅ・・・・・・」


 うおぉっ!!耳に吐息がぁあ。

そして・・・・・・、


 ぷにぃっ・・・!


・・・・・・んん?

右腕に柔らかいものが・・・・・・?

ていうか、腕だけじゃなくて、右半身全体に何か柔らかな物体が。

こ、これは・・・・・・。


 恐る恐る右側を横目に見やる。

うす暗いながらも、の顔が見えた。

 せ、先輩・・・・・・?

簡単に、簡潔に言うと、東先輩が俺の右半身に抱きついてる。


 ええぇ!?

何この状況!!

俺パニクってるよ!!

混乱なうだよ!?

どうなってんの!!?


 そこで、またあの音が聞こえた。

 ズル・・・・・・。

 ズルズル・・・・・・。


 って、またかよぉ!!

今度は何!?

そして、俺のに当たる物が。


 横目で見ると・・・、アロラさんでした。

えぇと??なんだ・・・・・・この状況は。

どうなってんだ。

どうなってんだ?

 考えない方がいいの?これは。

寝た方がいいの?

よし、寝よ。

はい、寝よ。



 俺は、考えるのを止めた。












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