夏休みは楽しいから、素晴らしい

第50話 木霊する不完全燃焼なんだよ!!


 「ふぅ・・・・・・」


 湯船につかりながら、溜息をつく。

やっぱし、風呂ってのは癒やしの空間だよねー。

そして、そしてね?

この湯船ね。

ふぅ、言わずもがなでしょーぅ。

・・・・・・いい匂いがする。


 《ドンッ!!》


 「・・・・・・っ!!?」

やべぇ、上から床を蹴るような音が。

女神様がお怒りだ。

オレ、ナニモカンガエテナイヨ。

無関心、無感動デスヨ。

不完全燃焼なんだよ。そうなんだよ。

 すいません。


 色々考える前に上がろ。

体を洗うために、湯船を出る。



 〔東堂 東視点〕


 彼方くんがお風呂に行き、残った私たちはババ抜きをしていた。

いきなり、アロラさんが床を蹴ったりと驚いた時もあったけど。

こうして、皆で遊ぶのって、楽しいな。

メムタチアさんとも話すようになったし。


 変わらずアニメが流れてるのが気になるけど。

この2人は、ババ抜きをしながらアニメを見てるのかな?


 「あっ!きました!きました!きますよ2人とも!!」

 「うぇぇ!?」


 どうやら、アニメで名シーンというのがくるらしい。

画面を見ると、主人公っぽい男の子が叫んでいた。

“鬼がかってる”、かぁ。

不思議な響きだけど、気持ちいい、かも。

それにしても、この男の子、髪をかき上げたときの彼方くんみたい。

クセなのか、絵を描いてるときに時々左手でかき上げるんだけど、

それが・・・・・・、


 「格好いいですよねぇーー!!」

 「え、えぇぇええ!!?」

 「ここ、私的名シーンだと思うんですけど!」

 「私も、思う、の」


 な、なんだアニメの話か・・・・・・。


 「あれ?10話見てたん?」

 「ひょうっ!!」


 いきなり横から聞こえた彼方くんの声に驚いてしまった。

さっきから奇声発してばかりだよ、私・・・・・・。


 「あ、風呂あがったから次、アロラな」

 「はい。入ってきますね」


 彼方くんが私の隣に座った。

う、うわぁあ。

お風呂あがりの彼方くんだよ!!

いい匂いがぁぁあ。


 「先輩?」

 「え!?な、なにかなっ?」

 「いえ、なんでもないならいいんですが」


 か、顔がぁぁああ、近いっ!!


 彼方くんがアロラさんのカードをとり、ババ抜き再開。

あ、彼方くんの手元にジョーカーが・・・・・・。

それでも、ポーカーフェイスで冷静を崩さない彼方くん格好いい・・・・・・。



 〔アロラ視点〕


 「ふぅ・・・・・・」


 湯船につかりながら溜息。

やっぱりお風呂っていうのは癒やしの空間ですね。

そして、そしてですよ?

この湯船ですね。

ふぅ、言わずもがなですよね?

・・・・・・いい匂いがします。


 そう、この湯船は・・・・・・、

彼方さんが入ってたお風呂なんですよ!!!

(なんですよ!!んですよ!ですよ!よ!)



 〔富士見 彼方視点〕


 今、なんか悪寒が・・・・・・。



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