第36話 完成


 色が、塗れた・・・・・・。


 ああ、もちろん《マリオVSクッパ》の話だ。

塗り終わったぁぁ!!

階段に貼り付ける大きさ(約2メートル四方×2枚)の紙には、マリオと、クッパが激突するシーンがポスターカラー(ポスター等を描くときに使う不透明、かつ粗製の水彩絵の具)で描かれている。


 少しだけ離れて全体を見てみた。


あぁ、達成感・・・!!



 文化祭が、後2日。

つまり明後日になって、少し焦りもしたけど出来てよかった・・・。

本当にそう思う。


 夏が近づき、少し蒸し暑くなった教室で汗を流しながら描いたアート。

イラスト部員と、美術部員で描きあげた作品だ。

ああ、なんと感動的なのだろうか!!


 アロラと、天童も満足げな表情でぶつかり合うマリオとクッパを見ている。


 基本面倒くさがりな俺だけど、本当に・・・よかった!!



 そして・・・・・・・・・。




 そして・・・・・・・・・!!





 これで、やっと・・・・・・・・・!







 ご褒美だぁーーーーーーいっ!!!


ッシャアア!!先輩からのご褒美、貰えまぁーす!!

はっ!愚民共!見てるか、愚民共!

羨ましいだろーー!?

ひゃっはぁーーー!!

先輩との文化祭デートですよぉぉお!?

あっはぁ、これが青春ってヤツですかぁあ!

アオハルってヤツっすかぁあ!!

アオハライドぉぉお!!


ふぅ・・・・・・。テンション上がりすぎたわ。



 落ち着け。クールにいこう。

クール、クーラー、クーレスト。


「時々、彼方くんって突然踊り出すけど、 なんなんだろう?」

「多分、病気だと思います・・・」


 うぉい!失礼なこと言うな、女神様!


「おお!出来たのかぁ!?」

山田が疲れ切った様子の俺たちを見て、近寄ってきた。

他の皆もよってくる。


「うぉぉお!!すっげぇえええ!!」


「うっまぁ!上手すぎぃぃい!!」


「さっすが、イラ美部員っ!!」



 ・・・・・・・・・!


皆、それぞれに賞賛の言葉を送ってくる。



「彼方さん」

「・・・んあっ?」


「口・・・笑ってますよ?」


「え、マジ?」


 ニヤけてたみたいです。

失敬。失敬。


 嬉しい・・・のかな、俺。

思えば、これだけ達成感を出した物を褒められたことなんて、無かったかも。



 

 


 まぁ、これで階段アートは完成だ。

明日、階段に貼って、終わり・・・!

明後日は文化祭。

高校最初の文化祭だもんなぁ。



 ふと、窓の外を見る。


 セミの鳴き声が聞こえた。

 


 









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