第25話 天の童子。真の崎。
先輩の家で料理をご馳走になってから、3日がたった。
ゴールデンウィークも今日を入れて後2日。
いやぁ、楽しかったなぁ、しかし。
山田のクソイケメン野郎がウチに遊びに来たり、アロラとゲームしたり、アロラとアニメ見たり、アロラと漫画読んだり。
・・・・・・・・・あれ?
俺、全然外出してねぇ!
あ、いや、半引きこもりだからそれが正解なのか?
いや、しかし、いくら引きこもりって言っても自分から健康を害したくはないしな・・・・・・・・・。
今日はちょっと外にでも出るか。
と、思ったときだった。
ピンポーン。
と、誰かが家の呼び鈴を鳴らす音が聞こえた。
今、両親は仕事中。
アロラはまだ布団の中だし。
しゃーなし。
出るか。
「はぁーい」
呼び鈴に応答してドアを開ける。
そこには、見慣れた顔があった。
「こ、こんにちわ。彼方くん・・・・・・」
「おお・・・・・・・・・っていやいやいや。なんでお前がここに?てかなんで知ってんだ俺ん家・・・」
「・・・・・・・・・きちゃった⭐」
・・・・・・・・・きちゃった⭐じゃねえぇよぉぉおおおおおお!!!
まぁとりあえず、来てくれたからには家に上げる。
「ん。お茶」
「あ、ありがとぅ」
粗茶ですけど・・・。
「んで?なんでお前がここに?」
それが一番重要だ。
まさか、アロラをつけてきた、とかじゃねぇよな?
「うん、実は・・・僕、商店街の福引きで水族館のチケットが当たったんだ」
「へぇ、すげぇじゃん」
水族館ね。
概ね、アロラを誘いに来たとかか?
「3枚あるんだけど、彼方くんと、あ、アロラさんもどうかな、って」
「・・・・・・え?俺もか?」
まさか、俺まで誘われるとは思ってなかったので驚く。
「うん、アロラさんと行きたいけど、二人きりじゃ、その・・・・・・・・・緊張しちゃうから」
乙女かっ!
こいつは、年上キラーだな。
お姉さんに好かれるタイプだ。
「ふむ、なるほどね。まぁアロラはOKだろうし、いいぜ」
「ほ、ホントっ?」
と、丁度アロラが起きてきた。
「あれ?天童さん?どうかされたんですか?」
寝ぼけ眼を擦りながらリビングに入ってくるアロラに水族館のことを話す。
二つ返事でOKだった。
「というか、アロラお前・・・。そんな眠たいなら遅くまでアニメ見てんなよ」
朝食を食べているアロラの首がカクカクと揺れる。
「仕方ないです。面白いんだから。というか、彼方さんって引きこもりのクセに健康にうるさいんですね」
悪かったな。うるさくて。
「というか、ごめんね?その、僕までご馳走になっちゃって・・・」
「いいって。どうせ、いつも余らせるしさ」
天童も今、ウチで朝食を取っている。
本当なら、そこらのファストフード店で食べる予定だったらしいのだが、せっかくだし、一緒に食えよ、と俺が提案したのだ。
「でも、美味しいねぇ。これって彼方くんが?」
「ん・・・。まぁな」
普段は、母さんが作ってくれるし、他の日は大体カップラーメンだけど、なぜか、昔から母さんの料理を手伝わされていたおかげで一応軽いものなら作れる。
母さん曰く、料理が出来る男はモテるそうだ。
少し、照れくさくなった俺はテレビをつけた。
数秒おいて、テレビの画面が光を放つ。
瞬間、
「うおおぉぉおぉぉぉぉぉおぉおおぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
・・・・・・・・・。
・・・。
・・・・・・・・・え?
なんか、鼓膜が破れるくらいの、大声が。
声を上げたのは、天童だった。
普段の天童からは想像できないような声。
彼の視線の先には、さっき俺がつけた、テレビ。
俺もテレビの方を見る。
・・・・・・・・・アニメだ。
アニメがしてる。
数年前のロボットもの。
「うおぉおおお!!すげぇ!すげぇええ!!これ、再放送やってたのかよ!?」
天童がズザザッて効果音付きでテレビに突進をしかけた。
「・・・あぁ、ええと。それ、有名だよな?」
すると、天童の顔がグルンッとこっちを向いた。
「有名なんてもんじゃないぞ!!ロボットアニメの金字塔だぞ!!?クッソォ!これ2話じゃん!1話見逃したぁぁ!!!」
・・・・・・・・・もはや、口調も変わってらっしゃる。
この瞬間、俺は確信した。
こいつ、危ない奴だ。
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