第24話 ハンバァァァァァァァグッ!
時間は流れるように過ぎていき、時計の針は午後5時をさした。
「そ、それじゃあ、夕食を作るねっ?」
東先輩がそう言って立ち上がる。
「はいっ、よろしくお願いします!」
あぁ、とうとうか、楽しみだなぁ~。
先輩の手作りの料理・・・。
例え、どれだけ不味かろうが食べるっ!!!
ちなみに、先刻からアロラは無言で少女漫画を読んでいる。
先輩のものらしいが、先輩もこういうの読むんだなぁ。
ふと、台所に立つ先輩の方を見やる。
エプロン姿で、野菜を次々に切っていく先輩。
ああぁ、いいなぁ。この感じ。
まるで、・・・夫婦、みたいだ。
まぁ他に一人アロラがいるんだけど。
・・・それにしても、こいつホントアニメとか漫画とか好きだよなぁ。
下界?というのかは分かんないけど、地球に下りてきてからドハマりしてるからな・・・・・・・・・。
また、今度アニメイトにでも連れて行くか。
ほとんど、忘れてたけど、こいつがここにいるのって俺が未来を救うことを拒否ったからなんだよな。
30分程すると、台所の方から、いい匂いがし始めた。
うおおぉおお!鼻が蕩けるぅっ!
うっまそう・・・・・・・・・。
「あ、後、もう少しで、出来るから、ね?」
『ね?』のところで、上目遣い。
・・・・・・か、可愛いです。
こっちは座っているのに、立っている先輩がなぜ上目遣いを出来るんだ、とかいう疑問はもうどうでもいい!
とにかく、俺は可愛い先輩を食べたいっ!
・・・間違えた。
俺は可愛い先輩の手料理を食べたいっ!!
それから、10分ほどして、先輩が料理を盛り付けた皿を運んできた。
テーブルの上に料理を並べていく。
「うぉおお・・・・・・・・・!うまそぉお!」
ハンバーグ、トマトが沢山入ったサラダ、ゴボウのかき揚げ。
その他にも数種の料理がテーブルの上に並んだ。
これだけの料理をほんの何十分かで・・・!
う、涎が・・・。
「お、お口に入るか不安、だけど、どうぞ、召し上がってください」
その言葉に、俺も先程まで漫画を熟読していたアロラも箸をとる。
俺は、まずハンバーグに箸をのばした。
「・・・んむっ・・・・・・・・・」
「どう、かな・・・・・・?」
先輩が不安そうに聞いてくる。
だが、そんなの分かりきっている!
「美味いっ!!!スッゲぇ美味いですよ!!」
こんな美味いハンバーグ食べたことねぇよ!
俺の言葉を聞き、先輩が胸を撫で下ろす。
ハンバーグはひき肉を錬るときや、焼くときに少しでも力加減やら、焼き加減を間違えたら美味くはなくなるって母さんが言ってた。
母さん本人もそれを間違えて、食卓に出てきたのはドロドロのハンバーグだったり逆にカチッカチのやつだったりしたことがあった。
だが、これは。
このハンバーグは!
どうだろう。ドロドロもカチカチもしてない!
しかも、このソースがまた、良い感じにマッチして・・・!
形を保ったまま、それでも口に入れるとふわっととけて、お世辞とか一切抜きで、美味い!!
アロラも、ハンバーグを口に運び、
「っ!本当に美味しいです!このソースはどこの?」
「え、えと・・・・・・。そのソースは、私が作ったんだ」
・・・・・・・・・うぇ?
「そ、そうなんですかっ!?」
「う、うん。ケチャップとマヨネーズを混ぜ合わせて、少し塩とかを加えただけ・・・なんだけどね」
て、手作りのソース!
「先輩ってすごく、料理上手いんですね」
「え?そ、そうかな?」
プロになったことがない俺がいうのもなんだけど、これは、そこいらのレストランよりも美味い!
プロ顔負けの美味さだ。
「本当に美味しいです。先輩は、いいお嫁さんになりそうですね」
「え?」
ん?
俺、変なこと言ったか?
「お、およ、よ、およよお嫁さんだなんて、そ、そんな・・・!」
なんか、先輩が両手を顔の前でわちゃわちゃさせている。
顔が耳まで真っ赤になっている。
料理が美味いって褒められるのってそんなに嬉しいことなんだ・・・。
「私も料理、やってみよっかな」
なんかアロラは変な決心してるし・・・。
いやぁ、美味かったなぁ。また食べてみたいぐらい。
というか、一生食べていたいくらい!
先輩の夫になるヤツは羨ましいな。
「・・・・・・・・・ッ!?」
あれ?
なんか・・・・・・・・・。
胸が、痛い?
心臓病かなんかじゃなきゃ、いいんだけど・・・。
「じゃあ、先輩。今日はありがとうございました」
アロラと声を揃えてお礼を言う。
「う、ううん。こちらこそ、いきなり誘っちゃってごめんね?」
「いえ!もし、よかったらまた誘って下さい。先輩の手料理、また食べたいです」
そして、先輩に手をふり、俺とアロラは家に向かった。
いやぁあ、今日は最高の一日だったなぁ。
ゴールデンウィーク出だしから、素晴らしいよ。
あぁ、明日は何があるんだろうなぁ。
ワクワクがつきない。
思えば、こうして明日が楽しみになったのもつい最近のことだよな。
まぁ、いいことだとは思う。
よし、ゴールデンウィーク!思う存分、楽しむぞぉお!!
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