第8話 恐怖の伝え忘れ
「おきーーくーーさいーーーかなーーーさん」
なんだよ・・・・・・・・・、今眠たいんだ。
「がっこーーーーじまりーーーすよ?」
なんて言ってんだ・・・。聞こえねぇよ。
「はぁ・・・。仕方ありませんね」
・・・・・・・・・?
「ドリルは彼方さんの魂じゃなかったんですか?」
いや、1回も言ったことねぇよ、そんなこと。
ここで使うネタか?それ・・・・・・・・・。
「流石ですね。寝ぼけていてもツッコめる!そこに痺れる!憧れるぅ!!」
いや、ホントなんなの?
訳分かんないんだけど。
お前なんか取り憑かれてんじゃないのか?女神なのに・・・・・・・・・。
「やだなぁ、大丈夫ですよ。私、中には誰もいませんよ・・・」
・・・・・・・・・。
「いや、もうそろそろ怖いから」
「あ、起きましたね。彼方さん」
ニコッと微笑むアロラ。
「え?いや、どうしたんだよ。お前」
と、アロラが得意げに胸を張り、答える。
「ふっふっふ、実はですねぇ。私、昨日徹夜してずっと有名どころのアニメを見てたんですよ。漁ってたんですよ!」
なんというか、すごいドヤ顔で言ってきた。
「いやぁ、それにしてもスゴいですねぇ、日本のアニメは!すっかりハマっちゃいました」
女神さんにそう言って貰えると、日本人としては誇らしいんだけども、
一ついいか?
「お前、目の下隈すごいぞ」
こうして、アロラは立派なアニオタになった。
将来自宅警備員でもやってるんじゃねぇか?
アロラが転校してきて(いや、実際のところ、転校ではないのだが)、2日目。
やはり、アロラは大人気だった。
朝から、アロラの周りに人が群がる、群がる。
まるで、人がゴッーーーーゴホンッゲホッ!!
・・・・・・・・・危ねえ、あいつに影響されるとこだった。
人を惹きつけたり、何かと影響力が高かったりすんのはやっぱり女神だからなんだろうか。いや、もちろん、彼女自身の人格も関係あるんだろうけど。
少なくとも俺は転校2日目にあそこまで人気者になる自信はない。
「よっす、彼方!なんか、疲れてんな?」
「あぁ、まぁ・・・ちょっとな」
アロラのおかげでな。
「いやぁ、でもやっぱり可愛いよなぁ、アロラちゃんは」
山田よ、お主まだそげんことを・・・・・・・・・。
「流石、転校直後にファンクラブが出来ただけある」
「・・・・・・・・・おぁ?」
ファン・・・・・・・・・なに?
「ファンクラブだよ、ファンクラブ!名前は、アロラさんを愛でる会!!通称:【AWRFC《エーダブルアールファンクラブ》】!!!」
「いや、怪しい名前だな、おい」
「ちなみに、俺も会員だ」
「お前もかよっ!!」
クソ、山田め・・・・・・・・・ツッコませてくれる。
「・・・というか、疑問だったんだが、そういうファンクラブとかって誰が作るんだ?」
「ん?あぁ、まぁ自然に出来てるって場合が多数だが今回の発案者は、生徒会長だ」
・・・・・・・・・この学校大丈夫かな。
そういえば・・・東先輩もモテてるんだよなぁ。
前も告られたって噂で聞いたし。
そりゃ、あんな可愛い人だから当然っちゃ当然なんだけど。
・・・・・・・・・俺、嫌われたんだよなぁ。
どっかの女神さんのせいでな!
「えぇ、ではHRを始めます!」
いつの間に入ってきたのか、小泉先生の声が教室に響いた。
委員長が挨拶をし、先生の話を聞こうと生徒達が顔を前に向ける。
「えぇ、皆さん・・・・・・・・・。先生、実は少し伝え忘れていたことがあってですね。申し訳ない。先生方も皆さん忘れてたようで・・・。まず最初にその話を、しようかと・・・」
やけに歯切れが悪い。
「実は・・・・・・・・・明日から1年生は、合宿があります」
「「「・・・・・・・・・え?」」」
今度はクラス全員が、いや、正確にはアロラを除いた全員がこう思った。
・・・・・・・・・この学校・・・大丈夫かな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます