合宿、やる気、なし

第7話 修羅場突入の予兆!??

〔東堂 東視点〕


 ーーーあぁあ、やっちゃった・・・・・・・・・。


 今、私はマンションの自室にいる。

ベッドに突っ伏したまま、もうすぐ1時間が経過しようとしていた。

「はぁあ・・・・・・・・・。」

もう何度目かも分からない溜息。

あの時、うっすらと聞こえていた、アロラさんの言っていた事が正しいなら今私は300幸せ以上失っているんだろう。

「うぅ、やっぱりあの二人って、で、でも従妹だって言ってたし・・・・・・・・・。でも、従妹だって、け、結婚・・・できるよね」


・・・やっぱり、付き合ったりとか・・・・・・・・・。


 先程からずっとその事しか頭にない。

今日の放課後。いつものようにイラスト部の部室で彼方くんを待っていた私が、最初に見たのは彼方くんではなく、彼女だった。

うすぼんやりとしか、聞いてなかったから曖昧だけど、名前は確か

富士見 アロラさん。

 彼方くんの従妹・・・だそうだ。

「・・・・・・・・・うぅう・・・」

しかも、い、いい、い一緒に、住んでるって、それっ、て・・・ど、同棲・・・ってこと・・・・・・・・・だよね?

うぅ、いいなぁ・・・・・・・・・じゃなくてっ!!

「・・・・・・・・・はぁ・・・」


 私が彼方くんが好きだと自覚したのは、つい最近のことだ。

でも、彼と初めて出会ったのは、彼がこの高校に入学してくるずっとずぅっと前。

 きっと彼は覚えてないだろうけど。

まだ小さいころ、5歳くらいの時だった。

両親の仕事の関係で、一時期私はこの町で暮らしていたことがある。

 両親はどちらも同じ職に就き、私はいつも家で祖母と遊んで暮らしていた。

 ただ、まだ幼いながらに飽きというのは来るもので、ある日私は近くの団地裏にあった小さな公園に一人で遊びに行った。

 その時だ。彼と、彼方くんと出会ったのは。


 ありがちな話かもしれないけれど、一人で遊んでいた私に声をかけてくれたのが当時の彼だ。

それからは、毎日のように彼と遊んだ。

 結局名乗ったのは彼だけで、私は自分の名前一つろくに言えなかったけど、毎日が楽しかった。


そして、私はまた田舎に戻った。


 高校に入るためにこの町に戻って来てからずっと、あの時の彼を思い出していた。

また会えるのだろうか、と。


 2年生に進級し、新入生が入ってきた。

 そこに、彼がいた。

驚いた。本当に驚いたけれど、それ以上に嬉しかった。

同じ、イラスト部に入ってきてくれたときは運命なんじゃないかとさえ思った。

当たり前だけど、背も伸びてたし、それに・・・・・・・・・。

すごく、かっこよくなってたから・・・。


 で、でも、まさか彼にあんな可愛い従妹さんがいたなんて。

きっと・・・・・・・・・付き合ってるんだよね。仲良さそうだったし・・・。

「うぅうぅぅう・・・・・・・・・!」

 ベッドの上で身悶える。

あ、あんなカッコいいんだし、彼女の1人や、2人や、10人くらい・・・。


あぁあ・・・・・・・・・。あした、どんな顔して2人に会おう・・・。


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