女神、降臨
第3話 あれ?この声・・・・・・・・・
帰宅した。
俺の家は商店街を抜けた先にある。基本的に人通りは少ない。といっても別に周りに他に民家がないわけじゃない。むしろ、周りは民家民家民家で夕方になると大音量でアニソンを流す家だってあるし、騒音被害届が絶えないくらいだ。
だが今日は、不思議と全く、これっぽっちも、何の音もしなかった。無音だった。ただ一つ・・・・・・・・・。
俺の家の中から親父の母親の笑い声と、知らない女の声が聞こえてくる以外は。
ーーーー嫌な予感しか、しねェェエエ!!
見知らぬ声の主、でもなぜか、聞き覚えのある・・・・・・・・・。
てか、ついさっき聞いたような。
不安と共に家のドアを開ける。
中に入り、明かりのついたリビングの方に声をかけた。
「ただいまぁ~・・・」
「お、彼方が帰ってきたようだぞ!お嬢ちゃん!」
「お帰り、彼方。お客さん、来てるわよ」
嫌々ながら、リビングに入る・・・。
・・・・・・・・・いた。
そこに、女の子が。
あの時は顔がよく見えなかったのに、同一人物だとハッキリ分かる。
「・・・・・・・・・お前・・・」
「ふふ、お帰りなさい。彼方さん。お邪魔してます」
声もそうだ。疑う余地はなし!
あの時の・・・女神さんだった。
「いやぁ!!お前にこんな可愛い彼女さんがいたなんてなぁ!最近ずっとニートってたから父ちゃん心配だったんだぞお!!」
・・・・・・・・・も、ヤダ。
親父、そいつは彼女じゃねぇよぉ。
「そうねぇ、すごいべっぴんさんだわ。天使みたい」
「ふふ、ありがとうございます。お母さま」
天使でもじゃねぇよ。女神ではあるけれど。
なんで、こうなったんだ。
「お義母さまだって!あなた、聞いた!?なんて可愛いのかしら!!」
「あぁ!もちろん聞いてたよ!今すぐ彼方の嫁さんになって貰いたいぐらいだぁ!」
「いや、だから・・・・・・・・・違うって・・・」
「テレなくてもいいのよ、こんな可愛い彼女さんだものね」
くそぉ、さっきから隣でニコニコしてるこの女神は俺の両親になんて説明したんだっ!!?
「もう遅い。今日から泊まっていきなさい、お嬢ちゃん」
・・・・・・・・・?今日から?
「って、ちょ、親父!!?」
「部屋は彼方の部屋でいいかな?」
「はい、ありがとうございます。お父さま」
あ、あれぇ?ナニコレ。なんなんだ、この展開。
「ほれ、案内してあげなさい。彼方」
・・・・・・・・・はぁもう、どうにでもなれ。
こうして俺の家は女神の領地にされた。
「ん、ここが俺の部屋な。勝手に
「あれ?どこ行くんですか?彼方さん」
心底不思議そうに問いかけてくる。
「いや、お前がここで寝るんだったら、俺がいちゃマズいだろ?」
「・・・?そうですか?」
こ、こいつ・・・・・・・・・!
「マズいんだよっ!!俺は隣の部屋で寝るからなっ!」
「あ、まぁまぁ。待って下さいよ」
すっと、服の袖を引かれる。男としては嬉しいシチュなはずなんだがな・・・・・・・・・。
「なんだよ?」
「私がなんでここに来たのか、知りたくないんですか?」
・・・・・・・・・今さら?
「そりゃ気になるけどさ。別にそこまで知りたくも」
「なんでですかっ!!!」
「うえぇ!?」
いきなり、叫ぶ女神。
なんだこいつ、おっとりしてたり、荒くなったり・・・。情緒不安定かよ。
「そこは、知りたがりましょうよっ!!知りたいですよねっ!!仕方ないっ!なら教えましょう!」
ホントなんだこいつ。無理やりにもほどがあるだろ。
荒ぶる乙女・・・もとい女神だな。
「あなたは、未来の地球を救う気がないと言いましたね」
「ああ、俺には関係ないからな」
「それですっ!!」
ビシッと俺を指さして、叫ぶ女神さん。
「私からすると、あなたに地球を救って貰わなければ困るんです」
「俺は困らねえし。てかなんで俺?」
「だから、私は決めました!」
こいつ!俺の話は無視かいっ!!
「あなたの気が変わる日まであなたの家に、つまりここに、住みつきます!!」
・・・・・・・・・お、おお。
「お、おお」
はっ!心で思ったことをそのまま口に出してしまったぁ!!
ってか、え?
「すみつく?」
「はい」
「誰が?」
「私です」
「どこに?」
「彼方さんの家です」
「・・・・・・・・・へぇ」
きっと、俺の方がおかしいんだ。これが普通。これが通常。これが常識。
なにもおかしくなんか、ない
ーーーーーーっんっなわけ、ぅあるかぁいっ!!!
「なんでだよぉぉぉぉおぉぉぉぉぉお!!!」
「あ、もう彼方さんのご両親には許可を頂いてます。」
・・・・・・・・・あっそ。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・お風呂入ろ。
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