第2話 神からのお告げ
あ、夢か。
ーー白一色の世界だった。
荒野でもない。真っ白なだけの世界。
ただ一つ、目の前には椅子があり、そこに誰かが座っていた。視界が霞み、男なのか女なのか、人間なのかさえ分からない。
なぜか、そいつが口を開くのが分かった。
そして、聞こえてきた声はとても澄んでいて、綺麗な色をしていた。
「あなたが、富士見彼方さんですね?」
数秒遅れ、質問の意味を理解する。
「そ、そうですが?」
「こんにちわ、私は女神です。」
おそらく女の子だろう。ほら、自分で女神って・・・・・・・・・え?
女神。
誰が?
「私がです」
へー。
なるほど、こんな夢を見るぐらいに疲れていたのか。今日の俺は。月曜だしな、うん。月曜だから。
「夢じゃないですよ。私は本物の女神です」
だからってなんでこんな痛い人を作り出しちゃったんだよ!俺の脳内!
「い、痛い人とは失敬ですね!!私は本物だと言っているでしょう?」
まだ言ってるよ、俺、相当病んでるな。
「分かりました!そこまで言うならいいでしょう。貴女が起きたとき、ゴミ箱の中を探してみてください。あなたにとって嬉しいことがおこるはずです!」
ゴミ箱の中?まぁいいけど。それで?その自称女神さんが俺になんの用ですか?
「自称は余計です・・・。はあ・・・・・・・・・。では、用件を」
お、なんか自称女神さんの周りがキラキラと輝いてーー。
「今からおよそ100年後、世界は滅びます。あなたが地球を救うのです」
・・・・・・・・・へえ。
「え?」
世界が滅ぶ?へーそうなんですか
「え!?いや、ちょな、なんですか!その薄味反応!!」
いえ、別に
「し、信じてませんね!??本当なんですよっ!」
いえいえ、別に信じてないわけじゃないんすよ?ただ・・・・・・・・・100年後でしょ?
「そ、それがなにか?」
俺、死んでますよね。つまり、俺には関係ナッシング。
「いや、いやいやいやいやいやいや!!!!え!?世界が滅ぶんですよ!?関係あるとかの問題じゃ・・・!」
もういいっすかね、そろそろ起きるっすわぁ。
「え!?え!?ちょ!!」
女神さんの声が途切れた。
「・・・・・・・・・ん」
「あ、お、起きましたか?彼方くん」
「あれ?先輩、帰ってなかったんすか?」
可愛い可愛い東堂さんがまだそこにいた。
「い、いえ、彼方くんを置いていくわけには・・・」
ん~、天使。
モジモジしちゃってまぁ。可愛いっすねぇ、ホント。
「ありがとうございます。じゃ、帰りましょうか」
「は、はいっ」
ん?あ、そうだ。あの女神さんがゴミ箱とかなんとか言ってたな。
ゴミ箱の中を見る。
奥に何かがあった。
「・・・・・・・・・?綺麗な・・・指輪?」
「あ!そ、それ・・・」
「先輩のですか?この指輪」
まさか、どこぞの野郎に渡されたやつとかじゃあ・・・・・・・・・。
「これ、おか・・・母親に貰ったものなんです。大切なもので、一昨日からずっと探してたんですけど。ゴミ箱に入っちゃってたんですね。あ、ありがとうございます!見つけて下さって!!」
お義母様、ゴホンッ!お母さんに貰った指輪だったのか。
「いえいえ、どうしたしまして」
感謝する先輩頂きっ!
でも、これで確かに俺にとって良いことが起こったな。あの女神さんの言うとおりだ。
やっぱり、ただの夢じゃなかったのか?
ま、どうでもいいけどね。
部室を出て、ドアに鍵をかける。
俺も先輩もチャリ通なので、自転車置き場に向かう。
自転車置き場は放課後はいつも部活を終えた生徒達が立ち話したりでなかなか狭い。
「じゃ、先輩。俺はこっちに駐めてるんで。」
「あ、う、うん!今日は、ありがとっ」
「え?そんな感謝されるようなことはしてませんよ?」
「ゆ、指輪見つけてくれたし、絵も・・・描いてくれたから・・・・・・・・・。」
なにこの生き物、可愛いっ!!
上目遣い!必殺技だよぅ!!
「いえいえ、こちらこそ。モデルになって下さってありがとうございました。さようなら」
「う、うんっバイバイ・・・」
先輩と別れ、自転車に乗る。
ふうぅ・・・。やっと下校か。先輩とはもっと一緒にいたかったけど、やっぱり学校というのは俺には合わん!
それから、また5分間、自転車をこいで、
帰宅した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます