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瑞穂がシャワールームから出ると、バスタオルを二枚手に取り、満遍(まんべん)なく頭と身体(からだ)を拭くと頭と身体(からだ)にバスタオルを巻きながら歩き・・・冷蔵庫を開いて二本目の缶ビールを手に取る。
瑞穂は冷えに冷えきった冷たい缶ビールを頬に当てると、しばらく目を閉じ、涼しい気分に浸り・・・そして、静かにゆっくりと目を開く・・・と、視界に広がる散らかった部屋にア然とした顔を見せる。
「 (/||| ̄▽)/ ゲッ!!! な、なんてキタナイ部屋なの・・・裕史のせいね、きっと・・・」
瑞穂は冷めた口調で言う。
結果的には瑞穂が裕史に投げつけた物。責任を全て裕史のせいにしてしまうなんぞは、やはり悪気がないまま当たり前のように裕史をいじめている証拠。
そんな自分事は、ものすごい高い棚に上げ、部屋の中に散らばる襖の破片やシェード、ライターを片付け出す・・・
「ん?」
首を傾げながらバッジにも似た変形しているドクロマーク数個と、疑問符の形にも似たマーク数個を目にし、何気なく床に並べ始める。
「ん~?なんだこりゃあ?」
床に並べたバッジ風のマークを並べ終わると、不思議そうに首を傾げる。
「なんかの進化過程のバッジみたいな・・・」
床にキレイに並べられたマークは、疑問符からドクロマークへと変化していく過程のマークだった。
瑞穂はジィーッとそのマークを見つめると、マークを全部拾い集め、何事も無かったかのようにゴミ箱へと捨てる。
ジャラジャラジャラ・・・
「よし。疑問符の死骸(ゴミ)も全てキレイに捨てたし、部屋の中もキレイきれい」
瑞穂は満足げなニンマリとした笑顔を見せると、缶ビールを開け、グイッと一口飲み、プライベートルームへと歩き出す・・・
パソコンの前に立ち。モニターに映る女性に話しかける。
「ねぇ、美夢(ミム)。『 松森 由美佳 』さんは、どうだった?」
美夢はとても残念そうな表情(ひょうじょう)を瑞穂に見せる。
「とても残念なご報告なのですが、由美佳さんは、『 大天使ミカエル 』の転生(てんしょう)ではございません」
美夢が申し訳なく答えると、瑞穂はその言葉に残念なタメ息をつき、ゆっくりと肩を落とし『またダメか…』と言う思いと共に、心底から絶望感に浸り、俯き(うつむき)ながら目を閉じる。
「・・・大天使ミカエルじゃないのか・・・
今度こそは、大天使ミカエルだと思ったのに・・・
これでもう十一人目よお~。
もう・・・、本当に大天使ミカエルは、転生しているの?
ねえ、美夢。大天使ミカエルは、本当に日本の誰かに転生しているの?」
瑞穂の残念に思う気持ちが涙声となり、目を潤(うる)ませながら美夢に言うと、ティッシュ箱に手を延ばし・・・ティッシュを手に取り握りしめ、涙の流れを止めるように頬につける。
「せ、せっかく、大天使ミカエルに逢えるチャンスなのに・・・
大天使ミカエルに逢えれば、わたしのジャンヌ・ダルクを召喚してくれると思ったのに・・・
そして、ジャンヌに会って、生のサインを貰(もら)おうと思って、サイン色紙まで用意しているのに・・・」
美夢は、瑞穂のあまりにも安易で難しい計画にいつも頭を悩ませていた為に、思わず苦笑いを浮かばせながら言う。
「だ、大丈夫ですよ。ジャンヌの生まれ変わりは絶対に日本の何処か・・・いや、身近にいますよ、きっと・・・灯台下暗しって言葉見たいなものです。頑張りましょう^^」
美夢は軽い気持ちで希望のこもった言葉を投げかける。
瑞穂は美夢のその言葉に少しばかり元気が出てきて、希望が持てたような気分になる。
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