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「さてと、今日の仕事(ラボータ)も無事に終了・・・と」

 瑞穂が気分よく由美佳を送り、仕事(ラボータ)の後の満足感で胸いっぱいのまま玄関を入ると、裕史が蹲(うずくま)っているのを目にする。

 瑞穂はそ~っと近づき、蹲っている裕史の背後から覗き込む。

 その途端、瑞穂は悲鳴を上げた。

「むっぎゃ~~っ!!」

 裕史がズボンとパンツを下げ、強打した部分に絆創膏を貼っているのを目撃してしてしまった瑞穂は、顔面蒼白になり、恥らうどころか空白になった頭の中に最大の怒りが込み上がる。

「乙女の部屋の中で、なんちゅうモノを曝け(さらけ)出しているンどぁーーー!!アホんだらぁぁぁぁぁ!!!」

 どわわしゃゃ~~ん!! 

 瑞穂は、力まかせに持ち上げたテレビを裕史の脳天めがけて落とした。

 まともに直撃した百画面のテレビは、激しい音をたてて壊れ・・・

 裕史は呆気なく倒れた・・・。

「早く しまいなさい!」

 瑞穂は必死になって、足でタバコの火を揉み消すように裕史の股間を隠していると、裕史は意識が無いながらも喜びの笑みを浮かべていた。


------ 裕史は気絶から目を覚ますと、瑞穂のプライベートルームのソファーベットに横たわっている事に気づき、頭を押さえながら起き上がる。

「あん? 痛ぅぅぅ~~・・・」

 ふと正面を見ると、瑞穂が作業台で壊れきったテレビを修理している後ろ姿が見えた。

「あ、ようやく目を覚ましたわね、変・態・オ・オ・カ・ミ・さん。

 目を覚ましたなら、とっとと帰って!

 このままじゃ、わたしが食べられちゃう」 

「痛っ・・・。ぁんだよ、瑞穂が全部悪りぃ~んじゃね~かよ!お陰さまで擦り切れてズキンズキンすんじゃね~かよ」

 がつっっっっっっん!!  

 ガラスの灰皿が勢いよく飛んできて、裕史の頭を直撃した。 

「痛てぇ~じゃね~かよ!いきなり何すんだよ!」

「いいから早く帰って!」

 瑞穂は怒りながら言うと、裕史は不満いっぱいの怒りで立ち上がり、灰皿を投げ返そうとした時、ふと視界に壁に掛かるポートレートを目にする。

「あれ? 瑞穂の部屋に、こんなにポートレートが有るんだあ・・・

 全然知らなかったな・・・

 それにしても、よくこんなにレプリカ集めたもんだなあ^^」

 四十畳の部屋の壁に掛かるポートレートの数々に、裕史は驚きの顔を見せていた。

 瑞穂は作業台から手を離し、椅子を引いて立ち上がる。

 瑞穂のさっきまで怒っていた顔が笑顔に変わり、両手を後ろに組み、裕史に近づきポートレートを見上げる。

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