第2頁目   

 慌てて三馬先生から離れると、顔を赤らめ丁寧な御辞儀する。

「ど、どうもスミマセンでした。三馬先生に御迷惑をおかけして・・・

 わ、私・・・」

 御辞儀をしたまま涙声で言葉を途切らせる。           

 様子のおかしい事に気づいた三馬先生は、その原因が自分の受け持ちのクラスだとゆう事を直感した。

「原丘先生、原因は揺織ですね。揺織が、また何かをやらかしたんですね・・・

 僕に事の起こりを話してもらえませか?」

 三馬先生が事の起こりを聞こうとすると、原丘ティーチャーの頬に涙がつたい・・・流れて・・・床へと落ち、跳ねた。

「わ、私。もう限界です・・・

 教師を続けてゆく自信が無くなりました・・・

 このまま教師をやっていたら、気が狂って自殺でもしてしまうんじゃないかと・・・

 私、毎日がとても不安で・・・」

 原丘ティーチャーは精神的な不安を打ち明けると、涙を見せまいと必死で唇を噛み締めながら悲しみの顔で三馬先生を見る。

 三馬先生は少しでも精神的な不安を無くそうと、原丘ティーチャーの手を強く握りしめた。

「原丘先生、安心して下さい。僕が、この僕が、原丘先生の、その精神的な不安を絶対に無くしてみせます!」

 三馬先生が笑顔を見せながら言うと、原丘ティーチャーも笑顔を見せる。

「ありがとうございます。私、三馬先生の言葉を信じています。必ず、私の心の不安を無くして下さい。私も頑張って努力します!」

 三馬先生は原丘ティーチャーに笑顔が戻った事を嬉しく思うと、握りしめていた手を離し。両手を強く握りしめ、拳(こぶし)に怒りを込め瑞穂のいるクラスへ向かって歩き出す・・・


 原丘ティーチャーから離れた三馬先生は、握りしめた拳(こぶし)を開くと、ガックリと肩を落とす。

「・・・とは、カッコ良く言ったものの・・・揺織かあ~・・・」

 一番苦手としている瑞穂に頭を悩ませた。

「どうしようかあ・・・。

 まぁ、教師としての最善の努力はしてみよう! 

 よっしゃあ!」 

 三馬先生はとても力強く弱気な気合声を出すと、開き直った顔を見せる。


 ワイワイと生徒の声が響く瑞穂の教室。


「瑞穂ォ~、スゴイじゃな~い!

 原丘ティーチャーの授業を一学期中ボイコットしまくるなんてさあ」

 藤沢 那由美(ふじさわ なゆみ)はとても嬉しそうに手を叩きながら言うと、瑞穂が半分怒った口調で言う。

「だいたい、終業式の日に授業をすること自体が信じられないわよ!!」

 那由美は手にした下敷きで煙を扇(あお)ぎながら、

「ねぇ瑞穂。どうせならさぁ、この後の大掃除もどうにかしてよぉ~」

 瑞穂は軽く笑みを浮かべ、

「ねぇ那由美。大掃除の時は、クラス全員が一丸となってサボるのが一番いい方法なのよ!。みんなでサボりましょ^^」

 と言いながらESC(エスケイプ)キーを押す。

 すると、急に教室の換気扇(ファン)が静かな音で回り始め。パソコンから出ていた煙が一斉に止まり。教室に充満していた煙は、みるみるうち消え・・・

 完全に教室から煙が消えると同時に、生徒達の大拍手と「おお~!煙が消えた」と言う声が教室じゅうを再び賑わいに変える。

「あれ?瑞穂。パソコンから出ていた煙が一斉に止まったけど、基板(ボード)をショートさせて、クラッシュさせたんじゃなかったの?」

「那由美。わたしがそんな事する訳ないじゃな~い。そんな事したら、パソコンがとても可哀相じゃな~い。

 たとえ、こんなオンボロパソコンでも大切に扱わないと・・・

 単なる煙幕(スモーク)よ。ちゃんとESC(エスケイプ)で取り消したから安心して^^」

 瑞穂はオンボロを強調しながら言うと、那由美達に煙幕(スモーク)の細工の説明を始めた。

 と、その時。

 三馬先生が物凄い剣幕で、教室のドアを力まかせに開けた。

「こぉらぁ~!ゆらおりィ~!!      

 今すぐ職員室へ来い!来るんだあぁ~!!」

 三馬先生は瑞穂を呼びつけると、力まかせにドアを閉めた・・・

 その途端に、物の見事にドアが倒れ。気持ちがいいぐらいのガシャーーーンという大きな音をたてて、ドアは壊れ、ガラスが大破した。 

「・・・・・・。」

 三馬先生は目を点にしてボー然として立ち尽くす。

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