第47話 「ルゥの家出」

 こんばんは。

悠久なる気を紡ぎし者達の作者のがんぷと申します。

悠久なる気を紡ぎし者達を週2回(火曜と土曜)にUPしています。

今日で47話目ですね。


そこでみなさんにお願いしたいのは、この悠久なる気を紡ぎし者達についての

感想をお願いしたいのです。

どんな内容でも構いません。

一言、二言でも問題ないです。

守ることは、この作品についての感想という点だけです。


週2回投稿して、少なからずや(おそらく)見てくださっている方がいます。

また新規の方でも構いません。

感想を、是非とも感想をください。

今後のお話をより良いものにするためにも、がんぷは貴方の感想をお待ちしています。




                                                                       がんぷ




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エヴァからルゥが、昨日から家に帰っていないという話を聞いたワシは、とりあえずエヴァを落ち着かせた。

焦りは、誤った判断を生む可能性があるからじゃ。

まだ詳しい状況も分からないことから正しい判断が、出せないことじゃから尚更落ち着いて貰わんとのぅ。

真っ赤な瞳を持った少女は、いつもの強気な雰囲気とは異なり、今はひどく焦り、落ち着かない様子じゃ。

そんな気持ちで探しても、見落とす可能性も高まるということで、ワシはエヴァを何とか落ち着かせる。


「少しは落ち着いたかのぅ?」


ワシは、エヴァが少し気持ちが落ちついたような気がしたので、エヴァに問いかけてみた。


「う、うん。ごめん、何だか迷惑かけて」


エヴァは、ワシに素直に謝ってくる。

えらく素直なものじゃのう。

やはり、すべての不安を取り除くのは不可能じゃな。

ワシはそう判断し、とりあえずはこれで良しとした。


「それでルゥが、いなくなったというのは一体どういうことなんじゃ?」


ワシは、エヴァにルゥがいなくなった経緯を聞いてみた。


「分からないの。私が魔法の事でルゥの自宅を訪ねたら、ルゥのお母さんが出てきて、昨日から出て行って、今も帰って来ていないことを言われたの」


エヴァは、何とか落ち着いて話そうと努めているが、それとは裏腹に口調は早口だ。


「それでそのルゥのお母さんはなんと?」


ワシは、その先を聞く。


「それっきりよ。だって、ルゥはお母さんと仲が悪いもの。ルゥから聞いたことがあるから。だから私もそんなルゥのお母さんにあまりいい印象を持っていなかったから、ただそう言われて、私は妙に落ち着いているルゥのお母さんのその態度に何だか腹が立って、探さないんですか? 心配じゃないんですか? って聞いたの」


エヴァが、その時の状況を思い出すかのように話している。

ワシにも大体そう話しているエヴァの姿が創造できた。


「してルゥのお母さんはなんと?」


ワシは初めて、ルゥの家庭事情を知りながらエヴァに聞く。


「うん、心配は心配。でもあの娘のことだからいつものこと。またひょっこりお腹でも空けば帰ってくるわ。いつものことなのよ。自分のことばかり考えて。帰ってきたらしっかりと反省してもらわないといけないわ。人に迷惑をかけることは悪いことだから」


目頭を上げて、ルゥの母親が言ったのを、エヴァはその時の動作を真似しながら話す。


「私は、もうこれ以上、この人と話しても埒があかないから、別れを言って、とりあえず帰ってきたの。話していても平行線だから。それに探すにしても、私ひとりじゃ限界があるから。トーブの意見も聞きたかったから」


エヴァは、そこまで言い言葉をきった。


「なるほど、つまり大まかな捜索はまだしていないんじゃな。まぁ、聞く分には中々の親御さんじゃから、いつもの家出とおなじくらいしか思ってない感じじゃな。まぁ、ただの家出ならその方がいいんじゃが」


ワシは、腕組みをしながら返答する。


「よくないわよ。ルゥに何かあったらどうするのよ!」


エヴァが、声を上げてワシに反論する。

ルゥがそれほど心配なのじゃ。


「まぁまぁ、落ち着くのじゃ。ワシも何も全く心配してないわけじゃないわい。いつもの自分で帰ってくる家出なら、まだいいといったわけじゃ。いつものようにひょっこりお腹を空かして帰ってくるのなら、かわいいものじゃ」


ワシは、エヴァとは裏腹に落ち着いた口調で答える。


エヴァは、どういうことといった表情でワシの話す言葉を待っている。ワシの話している内容をあまり深く、理解していないようじゃ。


「これが何か事件や犯罪に巻き込まれているとなったらどうする? すでに、そこそこの時間が経過している。この時間経過は致命的な事じゃぞ。ましてまだ年端もいかない子供じゃ。狙うにしたら格好の的じゃ」

「言われてみたら……た、確かにそうね」


ワシが事件性の可能性を挙げると、エヴァの表情が次第に変化していった。

最終的に、エヴァの意気消沈した表情が、ワシの目に写る。

考えすぎるエヴァのことじゃ、もうルゥが家出ではなく、さらわれたと想像しているのかもしれない。

 

「現に、ワシ達は、すでにそれと似たような事件に関わったことがあるしのぅ。エヴァは、その中心にいたのじゃぞ。まだ記憶に新しいはずじゃ。決して忘れることはないはず」


ワシは、例の人さらいの事件を例に出した。

まだ古い記憶にするには、新しい内容の話じゃ。エヴァがさらわれ、マンダリンも仲間がさらわれた。そのさらわれた現場を見たのが奇しくも今回いないルゥじゃった。

そして、情報を頼りにワシとマンダリンが、人さらい達の本拠地に乗り込み、みんなを救出することに成功した。なんともシルトという決して大きくない町でこのような事件が起こるとは、誰もゆめゆめ思わなかったじゃろう。

まぁ、皮肉なことにそんな事件が起きたために、町の自警団の在り方に変化が起きたのじゃから。


「どうしよう……ルゥが、そんな事件に巻き込まれていたら」


心配させる気はなかったのじゃが、逆に心配させてしまったか。

ワシは目の前のエヴァを見て、少し言い過ぎた、失敗したと後悔する。


「あくまでも可能性の話じゃぞ。まだ分からん。今のところ何も情報がないから判断の材料は少ないことから明確な結論には至らないからのぅ。それに人さらいの事件があってから、この町の自警団の取り締まりが、かなり厳しくなったから、事件性の可能性はかなり低いとは思うがな」


ワシは、何とかエヴァの気落ちした心に言葉をかける。


「……うん。そうよね、最近自警団の見回りも多いし、きっと事件性は低いわよね。うん、ルゥなら大丈夫」


自分で何とか、自分自身を納得させようとエヴァは、自分に言葉をかける。


「うむ。それでどうする? ただの家出であれば、もう帰ってきている可能性もあるし」

「うん、もう一度ルゥの自宅に行ってみて聞いてみる。それでまだ戻ってきていないのなら……」


エヴァは、考え込む。


「そのお母さんから何か情報を得る可能性が低いなら、他のルゥと比較的良好な関係を築いている人物がそっちの方にいるなら、その人から情報を得ればいいと思うが。ルゥと良好な関係を持った人はいるかのぅ?」

「それなら……庭師の方や、住み込みで働いているお手伝いさんの話をルゥは楽しそうに話していたわ。よく話しているみたい」


エヴァが、頭に手を当てながら考える素振りをしながら言った。


「ふむ、ならルゥのお母さんから有力な情報を得られないなら、そっちの件で当たってみようかのぅ。庭師の方、お手伝いの方の複数人に話を聞いてみて、何とかルゥの情報を入手したいところじゃな」


ワシは、大体のこれからの流れをまとめる。

エヴァも、これからの自分たちのするべきことが決まり、全ての不安をぬぐい切れたわけではないが、少しは心が落ち着いてきたような気がする。さっきの表情に比べて、かなり和らいだ気がする。

これからやるべきことが、大体決まったからなのかどうか理由は定かではないが。


「よし、なら準備をしてから集まろう」


ワシは、エヴァが何か準備するものがあると思い、そう発言したがエヴァに


「大丈夫、私にはこの杖だけあれば大丈夫だから」


とエヴァに言い返されてしまった。

まぁ、魔導士にとっては杖は、相棒であり、生命線じゃからのぅ。

それも当然の話か。

それにセスルートからもらった杖なのも関係している。建国祭でもらった大事な杖じゃ。


「まぁ、ワシにも準備があるから、エヴァは外で待っておるように」


ワシは、そう言いエヴァを自室の外へと誘導した。


「準備って!? まぁいいわ。早く急いでね」


エヴァは、訝しげな表情を一瞬したが、時間があまりないことを理解しているのか、ワシにそう言っただけで、部屋を出ていった。

ワシは、外出するためにすぐに着替えた。

動きやすい軽装の服に、忘れてはならないのが……。

ワシの視線の先には、木製の箪笥が目に写った。

普段はここに衣類を入れているのじゃが、今は別の物も隠すように入れている。

それは……。

ワシは恐る恐る立ち上がり、箪笥の引き出しを開けた。

まだ、光沢を帯びていて真新しい。

ワシの魔法を、唱えるために使用する杖じゃ。

大きさも従来のものに比べて小型である。

気が練れないと感じた日に、念のために購入したものじゃ。

ないものねだりの気をいつまでも頼ってはいられない。

まさかこんな早くから出番になるとはのぅ。

まぁ、使用するかしないかは別問題として、何よりルゥの事が気がかりである。

何もなく、ただの家出ならまだましという話じゃ。

杖の他に、気なしの打撃では心ないことから、携帯用の小刀を忍ばせる。

破壊力のなさを殺傷能力で補填させる。

よし、こんなものかのぅ。

まぁ、ここで考えていても何にもならん。

まずは現場に行って、聞き込みから始めるとするか。

そろそろ行かんと、エヴァが怒るからのぅ。

ワシはそう言い、自室を後にした。

玄関から出ると、エヴァがまだかまだかと忙しなく、周囲を行ったり来たりしている。少し待たせすぎたかのぅ。


「エヴァ、すまなんだ。待たせたな。では行くとするかのぅ」

「もう、遅いわよ。それにしてもトーブが準備なんて変な感じ。どうしたの?」


エヴァが、不思議そうな顔で聞いてきた。


「いや、特にないわ。ワシも単純に動きやすい服装に着替えたり、なんだりで少し時間がかかっただけじゃよ」

「ふーん……」


エヴァは、納得したのか、していないのか分からないが返答を返してきた。


「まぁ、それはそうと、ルゥの家に向かおう。ルゥの家まで案内お願いする」


ワシはそう言い、エヴァと一緒にルゥの自宅へと向かった。

ルゥの自宅へは、ワシは行ったことがないため、エヴァの案内に先導されて、ワシはシルトの町の見慣れた光景を通り過ぎていく。マンダリン達がたむろしていた川べり。商いのたたき売りが盛んな中央広場。見慣れた町の光景を通り過ぎて、ワシ達は決して近くはないルゥの自宅へとたどり着いた。

シルトの町の中心街から少し西に外れたところにルゥの家はあった。

ここか。

ワシの目に写ったのは、大きな大きな家じゃった。

表面に白色の塗装をしている。大きさにして、普通の一軒家が五軒は建つのではないかというくらいの大きさだ。

まぁ、聞いている感じ、住み込みのお手伝いさんもいることから、それなりの規模を予想していたが、そのワシの頭の中で思い描いていた家よりも大きくも、壮大な家であった。


「立派な家じゃな。聞いている分よりも立派じゃ」


ワシは全体を眺め見ながら言った。


「そうね。私も初めて来たときは驚いたけど、今はもう慣れてしまったわ」


エヴァが答える。

玄関のある正面の扉は、それはもう大きな扉だ。

その家があるなら周囲の庭も広い。広さもさることながら、その木々一本一本に手入れがきちんと行き届いている。

見事なものじゃな。


「戻ってきていればいいけど」


エヴァが心配そうな口調で、扉についている扉叩きの金具を引いてから、扉に打ち付けた。

さっきエヴァが訪ねてからまだあまり時間が経過していない。

こんこんという軽快な音がなり、少ししてから扉が開けられた。

中から、さっきエヴァの言っていたルゥの母親だろうか? こっちを鋭い眼光で見ている。

ワシはそう、思っていると


「あら? またあなたなの。一体何の用事ですこと?」


不機嫌そうな感じで、ルゥが家出していることなぞ、一切合切関係ないといった感じである。


「ルゥさんはもどられましたか?」


ワシは、落ち着いた口調で聞く。


「まだよ。さっきそっちの子に話したとおりだけれども。聞いてはいないのかしら?」


鋭く、きつい眼光がさらに尖り鋭くなる。

黒い長髪で体型もすらりとしていて、母親という言葉はあまり当てはまらないような気がする。服装も胸元が開き、自分自身の体型の良さが分かる服を着用している。ルゥとどことも似ていない気がする。


「まだ帰っていないんですね。分かりました」


ワシはこれ以上、この女性から得るものはないと判断した。何よりこの女性から発せられる面倒くさそうな雰囲気が嫌じゃった。

何故自分の子がいなくなったというのにこうもしていられる。

少しばかりの心配や不安の感情もないのか。


「あっ、そうそう。あの子を見かけたら言っておいてちょうだい。これ以上困らせないでちょうだいと……みんな迷惑しているわ」


他にも何かぷんすかと話していたが、ワシはこれ以上この女性と話したくなかったので、わかりましたと言い、エヴァを連れて、すぐに玄関の扉を閉めた。

ふぅ。

ワシは、軽くため息をついた。


「トーブどうしたの?」


エヴァが、心配そうな表情で聞いてくる。

ワシがすぐに踵を返して、玄関から出たので心配になったのであろう。


「あの目、あの服装」


ワシは瞳を閉じた。

それでもぬめりと瞳の裏にへばりつくようなこの気持ちの悪い感触。


「微塵もルゥのことを心配していない感じは見るに呆れて耐えられなかった」


ワシは呆れ果てて、それ以上何も言えなくなった。


「うん。ルゥが言ってたんだけど、さっきの人はルゥの本当のお母さんじゃないんだって」


エヴァが、何とも言いにくそうな顔で、ワシに話してきた。

なるほど、ルゥは親父さんの連れ子というわけか。これで合点が言った。

どおりで似ていないわけだ。

ワシは、さっきのあの女性の鋭い目付きとルゥのいつもの柔和な笑顔が似ていない理由がわかった。


「ふむ。じゃからこそのさっきのような対応というわけか。全く自分達の勝手な都合で離れたり、くっついたりしたというのに、そのことに子供を巻き込まんでほしいものじゃ」


あまりにくだらない内容で、ワシはさらに呆れ果てる。


「うん、でもお父さんのことはルゥは好きみたい。嬉しそうに話してるわよ。いつも。中々仕事が忙しくてたまにしか帰ってこれないみたいだけど」


なるほど。

そういう間柄というわけか。

知らなかったルゥの家族の関係図がワシの中に埋まってくる。


「でもどうするの? これだと、何もわからないわ。闇雲に探すのも問題ありでしょ。ある程度目星を立てて、動かないといたずらに時間が過ぎてしまうわ」

「うむ。エヴァの言うとおりじゃな。何でもいいから、次に繋がる手がかりのようなものがあればいいんじゃが」


ワシは、話した感じ、ルゥの母親からは何も情報は得られないと判断した。となるとさっきも言っていたとおり、庭師の方やお手伝いの方から何かしらの情報を得るしかないか。


「うーん、私もルゥから聞いたことのある話の中でルゥが行きそうな場所を思い出してみる」


エヴァはそう言うと、うんうんとうなりだした。唸りながら思い出しているようじゃ。

ふむ、何かないかのぅ。

ある程度、実になる内容の話を。


「そうだわ。よくルゥは、嬉しそうにおばあちゃんの話をしていたわ。なにかにつけてよくね」


エヴァは、思いだしたかのように答える。


「そうか、おばあちゃんの話か」


そこから何か得られるものはないか。

ワシとエヴァがうんうんと唸っているとそこに背後から声が掛けられた。




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 悠久なる気を紡ぎし者達の第47話をお読み下さり、ありがとうございました。

第47話の内容どうだったでしょうか?

話を書いた直後は、これでいいと思い、投稿してしまうんですが、いざ投稿してから

時間が経つと、ここはこうしたほうがいいんじゃないか。

あそこはいらないから、ここをもっと掘り下げておけばよかったな。

という反省点が必ず出ます。

作者的に、そういった点に気が付かないことが多々あります。


読んでくださった方には一つだけお願いがあります。

どうかなんとか、簡単な感想をいただけませんか。

おかしいという指摘があるなら、きちんと変更、修正したりしたいので。

またその一言をいただけるだけで、モチベーションがうなぎのぼりに……なるかも。

より良い作品をかけるように感想をお待ちしています。

よろしくお願いします。


 







                                                                    がんぷ

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