第2話 皇立魔法技術研究局。

翠色の塔。

正式名称、皇立魔法技術研究局。通称マギ研。

地上5000メートル、地下10kmというバカげた長さ。

そしてそれに見合う広大な敷地面積を誇る、この国きっての大研究機関だ。


研究職員の快適な引きこも……。もとい隠居生活を最大限サポートする寮。

研究職員の快適な食っちゃ寝…。もとい生活習慣を最大限コントロールする食堂。

そして、研究職員の快適ではないガラクタ置き……もとい研究室。


研究内容は、基本的に魔術、魔法、魔技の研究であり、

歴史的価値を持つ魔術道具の保存であり、

使い方のわからない魔法関係の物品の解析である。


皇立、と名のあるように、この研究局は皇国が運営している。

その特異性は。

現状、皇立という枕詞がつく施設が7つしかないことでわかってもらえると思う。


ああ、皇国、つまりはトランゼイドス朝アルマエルド皇国連合。

隣接したいくつかの国家が、その上に初代皇帝を立てて建国した。

その原因はとある病気が蔓延したからなのだが、今は割愛しよう。


大体、惑星の陸地表面積の3割を占める超大国だ。

この数字は皇国本土のみの計算で、

同盟国や周辺服属国、内地の特別自治区を入れると実に惑星の陸地7割を占める。

そのかわり、保有する領海の面積は全部ひっくるめても世界3位だ。

まあ、今の時代に海洋船舶なんて骨董品扱いなのだが。


本土人口としては控えめな17億人、世界人口の約28%を占める。

全体で言えば大体10億人増えて27億だ。パーセントなら45%。

典型的な封建主義国家であり、今のところ民主化は遠い。

とはいえ、識字率は99%を超えているし、

貴族とそれ以外で追い越せないほどの差はない。

これは、ゴーレムやオートマタ、マジックドールなどの、

単純な労働力がいくらでも手に入ることによって生じている現象である。


ということから、この皇国は魔法文明で発展し続けている。

よって、国家の要である魔法研究には莫大な予算と優秀な人材が惜しみなく注ぎ込まれる。

しかし、当然、莫大な利権を持てるのは名目上トランゼイドス皇家の血族のみ。


そして、その利権を含めた研究局の全実権と全責任を委託されているのが。

現皇帝の第3子にして、皇位継承権第3位である国家主席魔法使い。

トランゼイドス・ア・レイン、つまり、私のことだ。

ちなみに、ア・レインのアの部分がアルマエルドのことを意味している。

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皇国まるごとエトランゼ。 天宮詩音(虚ろな星屑) @AmamiyaSionn

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