その18

というかそもそもずっと加賀美の言動の非常識ぶりが気になるが。とにかく今はもうカンナがいる。


「くそが! くそが! 世の中みんな嘘つきだ! 俺は負けねー! 嘘つきの現実なんかに負けねー! 絶対俺のためのキレイな世界を実現させてやる」


やれやれ。新興宗教かっつーの。


が、加賀美の叫びとともに周囲が明るく輝く。


「まさか、周囲一帯を……?」


「なにこれ?」


不思議そうにカンナが俺に聞く。


「あの加賀美ってやつ、この周辺の空気をほぼ全部レンズ化して、屋上で収束させて俺らをぶっといレーザーで焼き殺そうとしているようだ」


「ああ! あの複数のレンズで光の線を集めようって作戦か。ふーん」


「って、見えるのか、空気だぞ?」


「そりゃ私だからね」


「違いない」


俺は苦笑するしかなかった。




続く。

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