その16

体調は近年これ以上ないくらいに健康な状態になっていた。もちろん加賀美にやられた傷なんかひとつも残っていない。


「では、この現場の状況の説明をしてください」


「ちょ、ちょっと待て」


「なにか?」


あわてふためいた加賀美が割って入る。


「お、お前ら、知り合いかよ」


「まあ、一応。風紀委員としての立場上」


「俺はバイト部だからな。嫌でも顔を合わせるさ」


「おい、俺の証言から先にさせろよ。身内の証言って当てにならないっていうじゃねえか?」


ネコっぽい顔をかしげ、カンナは肩をすくめた。


「ではどうぞ。


「ああ、もちろん。俺は……」


しばらく加賀美は口をパクパクさせた。目を白黒させて、言葉を探しているようだがなにも出てくる充てはないようだった。


「加賀美先輩、証言がないなら俺の証言いいですかね?」




続く。

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