その15

「風紀委員です。動かないでください」


「あ? フーキ?」


「通報がありましたので」


「へえ。俺も今たまたま通りかかったんですよ。だから詳しいことはなにも……?」


無関係を装う気か。なんという太々しさ。


で、女生徒たちにはあとで手を回しておくということか。


俺は俺で気息奄々で話すことも不可能なくらいに弱まっていて下手すりゃ死ぬ寸前って状態だ。


だがな、そこにいる風紀委員は


お前ら特殊能力者が昔からさんざん聞かされた「あり得ない」というセリフをお前らにいわせるような特殊能力者だ。


160cmをちょい超えた身長で真っ赤なチョートヘア。その黒い目で倒れている俺のそばにやってくる。


おい、仮にも怪我人なんだからもうちょっと慌ててくれよ。


「それではこの血まみれで倒れている頭の悪そうな男子生徒に証言してもらいますね」


「は?」


加賀美が怪訝そうな顔をしたかしないかの内、カンナが俺の肩を叩く。


「さ、あなたはとっとと起きてください」


「おう」


俺は即座に立ち上がった。



続く。

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