秋山律子さんにお話を伺った翌日

朝食を食べていた私はとんでもないものを発見した。


いつもの声がしないなとベランダの方を見ると

カーテンにうっすらと赤いシミができているように見える。


昨日のお話でベランダを警戒していた私は

はっと息を飲む。


恐る恐る近づくとそれはベランダ窓のガラスについた"赤いもの"

が白いカーテンに透けているのだとわかった。

"赤いもの"とは何か。

わかってしまっている自分が嫌でバっと勢いよくカーテンを開けた。


ガラスについた穢れ。

予感はあったが本当にそうだというと鳥肌が立った。

ベランダ窓のガラスには外側から

赤い手形がペタペタといくつかついていた。

思わずカーテンを閉めてしまう。


本当にこの部屋には何かがいる。

人ではない異常な怨を憎しみを持つ何かが。


引越しという言葉が頭の中をグルグルと回る。

偶然という希望を打ち砕かれ1日中何だかだるい。


意を決して穢れを落とそうと

またカーテンを開けると手形はなくなっていた。





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