第2話 未来世界が滅亡寸前
少しだけ僕と、僕が所属する組織の話をしよう。
元の名前は
日本の普通の学生をしてるが、僕は少々変わった経歴を持っていた。
まず、組織に所属している。といっても、人身売買とか取り扱う闇の組織とかではない。
闇は闇でもまっとうな闇の組織だ。
命がけで戦ったり、拳一つで建物の壁を粉砕するような暴れ者の相手をしたり、試験管片手に理科の実験の延長をするだけの組織。
……。
おかしい?
説明の仕方が悪かったせいで、普通の闇の組織よりも危ない組織に見える? まあ、しょうがない。僕だって、最初存在を知った時は大いに疑いの目を向けたことだし。
ともかくもう少し詳しく説明しよう。
自分が所属するのは抗体組織だ。佐座目はそこで働いているエージェント。
日本中でばらまかれたナイトメアウイルスに罹り、発症してナイトメアという怪物になってしてしまった人間のなれの果てを、戦って駆逐する
最後に言っておくのは、当然そんなところに出入りするのだから、戦闘力もそれなりにあるので、そこら辺も普通の学生とも言えないだろう……ということ。
とりあえずそんなわけだから、不思議な現象にも若干の耐性があるということを言いたい。
ただ、それでもここまで意味不明な状況に陥るのは想像の外だったけれど。
「覚えてない……だと」
僕の自称、記憶喪失発言で、周囲にいた二十人の歩みが泊まった。
目的地到着が遅れたことは悪いと思っているけど、こちらも大事なことだ。譲れない。
とりあえず、場所を探し他の人間から離れる。
今は最初に話しかけてきた女性と二人で、彼らとは少し離れた所に立っている。
でも分かる、注目されている。全身に視線を感じた。文字どおり、視線を浴びてるって感じだ。
しかし覚えていない(ということにした)のだからしょうがない。秘密にしていて後でボロが出るよりは正直に話した方がマシなはず。
「つまりこの世界はナイトメアウイルスに負けた世界で滅亡寸前ってことですか」
「ああ、そうなるな」
意味不明、想像外。こんな世界に僕はやって来てしまったらしい。
それも他人の体に、魂だけ寄生するような有様で。
何やってるんだ過去の世界……の抗体組織。職務怠慢だ。
未来が滅亡寸前だぞ。
こんなところに来る事になった僕の苦労も考えてほしい。
「明日人類が負けてもおかしくない、綱渡りの世界か……」
佐座目は、女性に説明を受けて、自分なりにかみ砕いたこの世界の現状を言葉に載せた。
美玲という人物から佐座目が話を受けた後、一行は歩みを再開し薄暗い通路を歩いていく。
やけに暗いと思ったら、ここは地下鉄の空洞らしい。
足元を見れば、列車が走るためのレールが敷いてある。
美玲達は、誰も彼もが疲れたような顔をして歩いている。
満ちるのは非常に重々しい空気だ。
周囲の薄暗さと相まって、倍増している。
彼ら、および僕の行先……目的地は抗体組織の支部。
装備から察せられることだだが彼らはエージェントで、目的はとある施設の情報収集だったという。
過去形なのは、もう終えてこれから帰るところだからだ。
リンカ・コアとかいう施設を調べてきて、記録を持ち帰らなければならないらしいのだが、佐座目には聞いたことののない名前だ。
おそらく自分のいた世界よりも未来にできたた物だろう。
見たものを完全に覚えるという絶対記憶能力者ではないので、百パーセントとは言えないが、抗体組織に縁のある施設については一通り目を通したことがある佐座目の記憶にはかすりもしなかったのでそうなのだろう。
きっと、探せば他にも色々と知らない事があるはずだ。
およそ十年。
そのれだけの年月が、あの世界から時間が経っているらしい。
それ以前の歴史は佐座目の知っている歴史と同じだ。
オリンピックの再々や、平和な島国、日本で起こった事件。ちょくちょく美玲にそれとなく尋ねた項目を照らし合わせてみるとおおよそ知識と一致した。
以上のことからも、とりあえずはifの世界ではなく未来に飛ばされたと仮定して,
佐座目は行動することに決めた。
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