第4話 今でも忘れない、メロンの芯の味

先生:「はいそれじゃあお昼ごはんの時間よ~。」

先生は、いつものように園児たちに呼びかけた。

園児たちは、いつものように机を動かしお昼ごはんの体勢を作った。


一つ変わったことといえば、

淳一は、配膳の前には必ずトイレで用を足す習慣を身に着けた。

先生に怒られないために。

たとえ足す用がなかったとしても、必ずトイレに行っては、何かを出すよう努めていた。

おかげさまで、お昼ごはん中にお腹が痛くなることもなくなった。


しかしながら、園児たちは淳一も含め年中さんとなり、

もはや先生は園児たちとお昼ごはんを食べることもなくなっていた。


それでも園児たちは、それまでいろいろと先生の怖さを思い知らされていたため、

先生がいなくても、お行儀よくお昼ごはんを食べるのでした。

ふざけない、騒がない、残し物をしない。


園児たちは、先生に怒られるのが恐くて恐くて仕方がなかった。

もはや自分さえ怒られなければ、他の園児を犠牲にすることも厭わないほどだった。




その日、淳一は一番にお昼ごはんをたいらげた。

デザートはメロンだった。

‟これで先生がいつ見回りに来ても、一番誉めるに値する園児になれる"

淳一は、そう思った。


その行動を気にくわないと思ったのか、一人の園児が淳一に言った。

園児:「淳君メロンの皮残してる。残し物しちゃいけないんだ~!」


淳一はお昼ごはんはきれいに食べることができたが、

メロンの皮、つまり芯の部分だけが残っていた。

淳一自身、メロンの皮は食べるべきものかどうか、まだ分別がついていませんでした。


すると、便乗にするように他の園児たちも立て続けに淳一に言った。

園児1:「メロンの皮は食べないとダメなんだよ~!」

園児2:「残し物したらダメなんだよ~!」

園児3:「先生に怒られるんだ~!」


淳一はそこで初めて、メロンの皮は食べるものなんだと認識した。

そして淳一は意地になり、園児たちに言った。

淳一:「知ってるもん!食べれるの知ってるもん!食べるつもりだったし!別に残そうとなんか思ってないもん!!」

そう言うと淳一は、メロンの皮をボリボリと食べていった。

とてもマズい食べ物だった。

瓜の強烈なにおいが淳一を襲った。

しかし、先生に怒られる恐さに比べれば、そんなマズさもへっちゃらだった。


そんな淳一に、他の園児たちから、何とも冷ややかな目が注がれたのだった。

結果メロンの皮を食べたのは、淳一だけだった。


数日後、デザートにスイカが出て、

またもや淳一に同様の現象が振り掛かり、

スイカの皮も食べる羽目になったことは、言うまでもなかった・・・・。




つづく?

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