草創期 《ヒスパニア1》









ユーロピア南部に位置し、強大な軍事力を持つ国ヒスパニア、その道のりは決して順風満帆ではなかった。かつてユーロピア全土を支配していたユーロピア帝国から最も早く独立を達成したのはブリタニアであるが、最も早く独立を考え、行動を起こした国がヒスパニアである。


かつて、ユーロピア全土を支配していたユーロピア帝国の枠組みが崩壊したきっかけは東方からの異民族の流入である。東方から来た彼らは先ず、ユーロピア東土、続いてユーロピアの北土を陥落させた。その後、ゲルマニアに居座った部族の長が、ゲルマニスク公を賜り、いくつかの領土を回復したが、それがきっかけとなりユーロピア帝国は東西に分裂した。その後、ユーロピア帝国東部は後のギリシア帝国ツアラ・ヘレンとなり、今でも強力な軍事力を保持してるが、西は没落を止めることが不可能となった。



最初の序章が、ヒスパニアの独立戦争である。ヒスパニア公はローマ公とガリア公と同盟を結び、宗主国であるユーロピア帝国と戦争を始めた。戦争は熾烈を極め、多くの犠牲が出た。そのどさくさに紛れて、最初に独立したのがブリタニアである。最終的には、ユーロピア帝国の主戦力であったゲルマニア公が離反したため、ヒスパニアはゲルマニアの次の三番目に独立した。


当初は、ローマ(イタリア)、ガリア(フランス)と併せた広大な領土を保有していたが、今度は内紛が起きたのである。ローマがヒスパニアから独立を画策しようとし、戦争を始めたのである。ガリアはヒスパニアを支援したが、ローマはギリシア帝国の支援を受けており、長期化した。

その後、ギリシア帝国と密約を結んだ北アフリカに版土を持つサラセン朝(モデル:ウマイヤ朝)が突如、海を越えて侵入してきたのだ。突然の攻撃にヒスパニア軍は崩壊し、ローマは独立を達成した。


その後、ガリアも独立し、ヒスパニアはイベリアの北側にいくつかの小王国を築くに至った。



だが、ヒスパニアに転機が訪れる。小王国の王と女王であるフェルナンドとイザベルがイベリアの小王国を統一したのである。その後、彼らはサラセン朝と戦い、戦い抜いて、ついに彼らをイベリアから追い出したのだ。これを国土再征服運動レコンキスタと呼ぶ。このとき活躍したのが征服者コンキスタドールと呼ばれる地方の豪族あった。彼らは、自ら私兵をかき集め、戦いでは勇敢に戦い、のちに皆貴族の位を授けられた。



その後、国土を回復したヒスパニアは報復を理由にサラセン朝を攻撃、北アフリカのモロッコ、サハラ(西サハラ)を征服し、現在も領有している。この時に最前線に出たのも征服者コンキスタドール達である。だが、ヒスパニアはモロッコを領有してからサラセン朝との争いが絶えず行われ、度重なる軍事費で国家の財政を圧迫しているが、征服者の子孫である武家貴族や、軍の力が圧倒的に強いため、改善される事がないだろう。






ヒスパニア首都セビリアのアルカサル宮殿の




ある地下室一室で一人の巨漢の男が、鎖で繋がれていた男の




グシャ!



顔を握り潰した。





わが主エル・シド…」

一人の男が頭を垂れる



「おい、こいつは死んだぞ!他の捕虜を寄越せ。俺をもっと楽しませろ!」

巨漢の男が吠える


男はエル・シドと呼ばれた男に背を向けて、新たなる生け贄を求める。




その間、後方から



グシャグチヤッブシュ



ああ、あの男は憐れだ…死してなお、その体を辱しめられるとは…







男は一つの大牢獄の前に止まる。


そこには大勢の男性が横たわっていた。


彼らは、モロッコから送られてきたサラセン朝の捕虜だ。兵士だけでなく誘拐してきた非戦闘員も大勢いる。

男はそのなかで、一番死にかけている男性を生け贄と決めた


(おお、神よ…罪深き私を御赦しください)

心のなかで唱える


男はこの憐れな生け贄を主に届けねばならない。


狂宴が続く…








戦場の勇者カンペアドールロドリゴ陛下のご入場である。皆の者!平伏せよ!」


重臣があらんかぎりの大声で叫ぶ



先程、地下牢で捕虜を拷問していた巨漢の男が現れる。彼は国の色である赤の服を身に纏っていた。



彼は豪華な玉座に座り、手を上げる。



一人の男が前に進みよる。

「報告致します。わが主であるエル・シド戦場の勇者カンペアドール。|サハラ(西サハラ)が陥落しました…」



「どういうことだ…あそこには要塞砂の壁があったはずだ…防衛司令官は誰だ…」

ロドリゴは肩を震わせる



一人の女性将軍が進み出る

「ヒメネス将軍です」



ロドリゴは息を深く吐く

「ヒメネスか…アイツは優秀な守将であったと記憶しているが…」




報告していた男が加える

「敵はサラセン朝日が落ちる地マグレブの一つであるモーリタニアを経由して、砂の壁を迂回しました。そのため、北を除く全ての方角が包囲される三日月陣を敷かれました」


「で、ヒメネスは要塞を置いて逃げたわけか?」


男は項垂れる

「ヒメネス将軍は決死隊20人を引き連れ、玉砕なされました」


ロドリゴは手に持っていた鉄のグラスを




グシャ!






握り潰す




「なるほど…くくっ、くははははぁ。なるほど、我らでは、超大国であるサラセン朝には勝てないということか…くくっ、暗黒大陸アフリカは奴等にとっては辺境。とるに足らない土地である。それに加え奴等の宿敵は東方の超大国ギリシア帝国ツアラ・ヘレンであるから、楽に取れると思ったのだが…」


皆は微動だにすることができない。


下手なことをして、逆鱗に触れれば、首を刎ねられかねないからだ。


「そう上手くはいかないようだ」

ロドリゴの眼は怒りに満ちていた


「俺様は、この王の地位を手に入れるために、多くの戦場を渡り歩いた。そして、モロッコで何度も奴等と矛を交えた。ところで敵の総大将はどこのどいつだ?」



男は震えながら言葉をつなぐ

「敵の総司令官は…最高指導者ハリファ(カリフ)であるヒシャームです」



ロドリゴは暫く考え込み、突如大爆笑する

「くははははぁ!なるほど…ヒシャーム…アイツが…お前ら!俺様はアイツを知っているぞ!」





ここでの知っているを


そのままの意味で捉えると


この宮殿にいる資格はない!



つまり、ここでの意味は



「あれは10年前…俺様とヒシャームは自由都市カルタゴ郊外で戦った。結果はこの俺様が惨敗だ!手も足も出なかった!そうか…アイツが!出てきたか。しかも最高指導者ハリファとなったのか…10年前は奴は軍司令官エミールだった。それをマリク皇帝スルタンを越えてきたか!くはははは」



「お言葉ですが…ヒシャームはスルタンも兼任しております」

女性将軍が付け加える



ロドリゴはギロリと睨み付けるが、女性将軍は涼しい顔でやり過ごす。



「ふん、貴様…後で俺の部屋に来い…たっぷり可愛がってやる」

ロドリゴは睨み付けたまま、言い捨てる



その後、会議が終わり、解散となる。



ロドリゴは先ほど訂正した女将軍を捕まえる



そして部屋に連れ込み、ベッドに放り投げ、上にのしかかる



「フフフ、ロドリゴ様…そんなに焦らなくても私はここにいますよ」





夜が過ぎる





すべてが終わり、行為後の独特な気怠さを感じながらロドリゴはベランダに出る





ロドリゴはポツリとこぼす

「なぜ、俺はここにいる…俺は、戦場で生まれ、戦場に生き、戦場で死ぬ運命ではなかったのか…わが戦友トモヒシャームよ…俺様はお前のことがうらやましいぞ…見ろ!今の俺様を!笑え!俺様を!俺様は…寂しいぞ…」


いくら、捕虜を殺そうとも…いくら女を抱こうとも…いくら酒を飲もうとも…俺様の渇きは癒されない…戦場でしか…戦いでしか…俺の渇きは癒されない…俺はただの暴れん坊で良かったのだ…



ヒシャームは裸にマントをつけたまま、夜の城内を歩く…




そして地下牢に付くと、扉を破壊する



中には一人の少女がいた。肌の色でみると黒の民のようだ…年は10を超えたあたりだろう…


彼女は突然の乱入者におびえる。



ロドリゴはおびえて動けない少女の服を破り、自分の性器を少女の性器に無理やり差し込む。


少女はあまりの激痛で声なき声を上げるが…


ロドリゴが絶頂とともに、少女の首を



ゴキリ




へし折る




(足りない)



翌日…十数体の少女の死体が地下牢に散らばっていた






ヒスパニアは過去の侵略された歴史の影響で軍の力がとても強い。その証拠が軍人国王である。ヒスパニアの王は世襲ではない。最も力のあるものが王となる。ゆえに、国王が死か、廃位されると壮絶な権力闘争が行われる。


その方法とは


叛乱、クーデター、暗殺である。




ロドリゴはクーデターで先王を殺した。理由は先王が長年争い続けたサラセン朝と平和条約を結ぼうとしたからである。この反逆行為は、ほかの有力者に彼を打倒する大義名分を与えることとなり、各地で叛乱が起こったが、彼は自ら剣を取り、鎮圧し、そして、襲いかかる暗殺者をすべて殺してきた。彼は血を血で争う血なまぐさい争いに勝ったのだ。



そして彼はそれだけにとどまらなかった。


彼は闘技トーナメントを開催したのである。もちろん自分もエントリーをしてだ。このトーナメントに優勝した人が次期国王だと宣言したのである。これを聞いた各地の有力者はこぞってエントリーした。武力に自信がないものは腕利きを雇ったのである。


そして形式はバトルロワイヤルである



闘技場コロシアムに50人ぐらいで乱闘させるのだ。国王であるロドリゴは必ずすべての試合に出なければならないという特別ルールつきだ。

これは彼の死を望む者たちの陰謀であるが、彼らは全員後悔することになる


ロドリゴは1対全員という試合でありながら、すべて勝ったのである。圧倒的な力で勝ち続けたのである。エントリーしたものは途中棄権が許されず、脱走者はみな、捕えられ、前座の獣たちの餌にされる運命であった。


彼はあまりにも強すぎた。誰も止められないほど…


優勝した彼は戦場の勇者カンペアドールという称号をもらい、名実の王として君臨することになったのだ。





わが主であるエル・シド戦場の勇者カンペアドールロドリゴ…彼は闘技上では唯一、武器を取らず、己の肉体のみで戦った。ゆえに、他国からは拳王と呼ばれる



その拳は普段、捕虜の拷問や殺害などに使われるが


決して弱いとは言わせない



むしろ強すぎるのだ。



自分では抑えきれないほどに…



ゆえに最強



ただただ最強の王である




「俺は負けない…俺はこんなところでは死ねない…俺様が死ぬとき、それは戦場だけだ!起きろ!お前ら!戦争を始めるぞ!」


今、最強が動き出す

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