草創期 《アルビオン》
ユーロピア大陸から北西に位置するアルビオン(イギリス)は、かつてユーロピア帝国時代には、ブリタニアと呼ばれていた島国である。ブリタニアの四方は海に囲まれており、ユーロピアで最も早く、且つ穏やかに独立した国であったが、現在は最も内乱が絶えない地域となってしまった。
独立した当初は、偉大なる公アルトリウスその部下円卓の騎士達による安定した政権が続いた。ある日、甥が叔父であるアルトリウスを殺害し、アルトリウスの姉が政治を代行するが、魔導士が反対するなど混乱が起き、12の騎士の国に分裂した。そして、今はアルビオン(イングランド)、スコッチラント、(スコットランド)、エリン(アイルランド)の4ヵ国まで減ったが争いは絶えない状態である。
アルビオン首都ロンディニウム…バッキンガム宮殿
「ねぇ、モルガン…いつになったら大陸に行けるの?」
紅蓮色のドレスを着た少女がベランダに乗り出し、大陸がある方向に羨望の眼差しを向ける。
彼女は天空の民の血を引いているのか、燃えるような真っ赤な髪と深紅の瞳をしている。
奥から漆黒の髪と瞳を持つ黒ずくめの美女が現れる
「もう少しの辛抱ですよ、エリザベス」
その言葉を聞いてエリザベスは本日何百回目のため息をつく
「失礼いたします」
一人の男性が跪く
「レナード将軍…どうした…」
モルガンが聞く
「ハッ、報告いたします。カンブリア宮殿の総攻撃が始まりました」
レナードが報告する
エリザベスは急に元気になる
「では、参ろうか!この日を持って、アルトリウスの血脈であるペンドラゴン家は私を除いて全て滅ぶ!行くぞ!」
エリザベスは深紅の鎧をドレスの上から纏い、目元を覆う紅蓮の仮面を着けて、颯爽と進む
そこには王者の風格が漂っていた
目の前には巨大な馬がいた。デストリア種とよばれる馬だ…名はアヴァロン…体高220メートル、体重1550キロの…真っ赤な体毛と真っ赤な瞳が特徴の超大型種だ
彼女は最重量級(約30キロ)の鎧を着ているのに軽々と飛び乗る。そして地面に突き刺さっている最重量級大剣(重さ3キロ、1.9メートル)のエクスカリヴァ―を片手でひょいっと持ち上げる
そして高らかに言う
「駆けろ!アヴァロン!」
アヴァロンは風のようにぐんぐんと進む。天空の民の血を引いているためか、エリザベスは猛スピードで駆けてもゆったりとしている。
そして
あっという間に最前線に躍り出る。ここまで、一度も姿勢を崩さず、駆け抜けた彼女の騎乗能力は超一級である。
しかも、
それだけでなく、
「アハッ」
一振りで、相手は馬ごと真っ二つにされる。
しかも同時に三騎もだ。
戦闘力も超一流である
「クソッ」
「誰か、あれを止めろ!」
「なんで当たらねーんだァ!」
「だ、駄目だ!勝てねぇー」
「たッ、退却ダァ!」
敵をバッサバッサと切り捨て
高らかに言う
「皆の者!勝利は目前に広がっている!戦え!進め!そして蹂躙しろ!勝利は我らの手の中だ!」
歓声が上がる。アルビオン軍の士気はMAXまで上がり、カンブリア軍の士気はどん底に落ちる
彼女は進む…全身を返り血を浴びながら…
「どうした!貴様ら!貴様らの力はそんなものか!私はここにいるぞ!かかってこい!ハァハァハァ!」
笑いながら突っ込んでくる
見方からはドン引き物で
敵からは恐怖の何者でしかない!
とうとうカンブリア軍は恐怖に耐えきれず
カンブリア軍は我先へと背を向けて逃亡する…それをアルビオンは追撃する
激しい猛攻の末
とうとう
城内に侵入された
場内からは悲鳴と怒号が鳴り響く、幸い騎士精神が発達してるためか、女性に対する暴行や、武器を持たない使用人、文官への攻撃はないが、武器を持つ兵士には降伏しない限り容赦はしない。
カンブリア軍の残党は玉座の間まで後退し、バリケードを作って抵抗する。
エリザベスは馬に下り、
奥にあるであろう玉座の間へ一人で徒歩で進む
一人で来るエリザベスを見て襲い掛かる騎士を全て切り伏せ進む
バリケードの前に到着する。飛んで来る弓は全て叩き落とし、向かってくる敵は全て切り伏せる
「お前たちの敗けだ!王が通る!道を開けろ!」
多くの騎士は自分の誇りである剣を床に落とし、項垂れる。
「そうはいかないぞ…」
一人の老人が剣を構えて進み出る
「閣下…」
勝てね軍総司令官が呆然と言う
「将軍…大義であった。そしてこの場にいる貴君らも同じように大義であった。ここからは私の番だ。お初お目にかかる…アルビオン公よ…」
エリザベスは目を輝かせる
「貴殿は…カンブリア公でそういないな…」
カンブリア公が頷く
「如何にも…この場で貴殿と一騎討ちをお願いする。ここは私の国だ…この国が欲しければ…私の屍を越えて行け…」
カンブリアの騎士達は悟る…我らがの主は誇りを守るために死ぬ気だと
「いいだろう!その屍を越えさせてもらうぞ!」
エリザベスはこの男の願いを聞き入れた。
カンブリア公は剣を抜く。装飾が付いた美しい宝剣だ…
「…」
カンブリアの騎士達は絶句する
あの剣はカンブリア公家に代々伝わる宝剣だ…儀礼用の剣であって、戦闘用の剣ではない
勿論、相対するエリザベスも一目で理解した。この男の覚悟を
「では参る!」
カンブリア公は上段で大きく振りかぶる。
胴体ががら空きだ。エリザベスのスピードなら真っ二つにすることも出来るが敢えてしない
(この男の生きざまを知りたい!)
カンブリア公は剣を振り下ろす。そして、エクスカリヴァーに叩きつける。
パリン
剣が割れたガラスのように砕け散る。
「貴殿の生きざま!しかとお見受けしたぞ!あとは私に任せろ!」
エリザベスは剣を振り、カンブリア公の首を切り落とした。
この瞬間、カンブリアは滅んだ
そして、この決闘を見ていた騎士達は頭を垂れる。
エリザベスは奥に突き進む。
玉座の前に立ち止まる
玉座の前には岩に刺さった一本の古びた剣がある
「これが…初代アルトリウスが持っていた王者の剣カリヴァ―ン」
今まで誰も抜くことが出来なかった。幻の剣がここにある。
このカンブリア公家は代々このカリヴァーンを守ってきた。
エリザベスは柄に手をかける。そして力を入れる
長い間眠っていたカリヴァーンが今、
解き放たれた…
「皆の者!私はこの剣に選ばれた!本日をもって、私エリザベス・ペンドラゴンはアルビオン公から、アルビオン王となる!」
この瞬間、ヒスパニア、フランクに続き、三番目の王が誕生した!
レナード将軍が大声を上げる
「王万歳!女王万歳!万歳!」
皆が声を上げる
この瞬間、後に剣王と呼ばれる女王が誕生した。
彼女は戦いを愛し、死ぬまで戦い続けた女王だ。
それゆえ、その生き様は鮮烈であるが、その行き方を理解できない者からは
こう呼ばれた。
最狂の王…狂王と
「失礼致します!!!!」
一人の兵士が大声で入る
レナードがニコニコしたまま問いかける
「どうした?」
「報告致します。
エリンが
スコッチラントによって
滅ぼされました」
先程までのお祝いムードから一転
一気に静かになる
「敵の司令官は誰」
「スコッチラント公令嬢メアリーです」
伝令が素早く答える
エリザベスはカリヴァーンとエクスカリヴァーを抜く
「では、皆の者!戦争だ!スコッチラントの首都エディンヴァラに攻め混むぞ!」
彼女の戦いは始まったばかりだ。
その時の
彼女の顔は楽しそうに笑っていた
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