おわれてみたのはいつのひか

―夕やけ小やけの、赤とんぼ

おわれて見たのは、いつの日か―


僕たちはなにかに追われていた。

僕たちはたしかに追われていた。

一体何に追われていたのか、

果たして本当に追いかけてきていたのか。

それでも、僕たちは確かに追われていた。

おわれて見たのは、いつの日か。

追われてみたのは、いつの日か。



僕たちはいつから、負われていたのだろう。

僕たちはいつから、負われて見たことにされていたのだろう。

おわれて、負われて。そう教えたのは、一体誰だったろう。

一体誰が、僕たちを負われる存在にしたかったのだろう。

負われた僕たちは、あの夕焼けを見ていた僕は、

負われてどこへ連れて行かれたのだろう。

一体どこまで、連れ去られていったのだろう。

追われた僕たちはつかまって、今でも負われて見ているのだろう。

なにかに追われてつかまって、

負われて、見たのは、いつの日か。



夕暮れは僕たちを抱き、夕暮れは僕たちを追った。

あの燃えていた陽の赤を、負われて見たのは、いつの日か。

負われたのがいつの日だったのか、僕たちにはわからない。

見たのがいつの陽だったのか、僕たちにはわからない。

それはきっと、僕たちが今でも負われているからだ。

負われた僕たちは、いつしか負われていることにすら気づかなくなっていた。

負われていることに気づいても、僕たちにはどうすることも出来なかった。

負われてしまった僕たちは、ただ負われながら、

どこへ連れて行かれるのかもわからない不安の中で、

過ぎ去ってゆく夕焼けを、ただただ見ているしかなかった。

なにかに追われ、必死に帰っていたはずの僕たちは、

いつしかつかまって、追われて、負われて。



おわれてみたのは、いつのひか

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