誤作動と仮託

無神経神経系

「聞いてくれ、その、大変なんだ……」

チャイムの音で起きた◆◆は寝ていた時の格好のまま■■■を家に上げた。外気の匂いのするコートを脱いだ彼はどう見ても勃起していた。

「神経系の誤作動かな、よくわからないけどとにかく治まらなくて……」

「難儀だね……」

ベッドの端に座った■■■の股間に何とはなしに手を添わせる。■■■は小さく悲鳴を上げた。

「いたいからいたいから。待って。やめてってば、出ないから……!」

「試したの」

「……試したよ」

苦い顔つきで■■■は淡々と言い放った。すっと冷めた表情、◆◆の背に冷や汗が流れた。

「えっと、まあ、調子の悪い時は誰にでもある。なんだ、その……疲れてるんだよ。こういう時は酒飲んで寝るに限る。そうだろ、な」

「そう……そうかなあ」

「まあいいから飲んでけ。昼だけど気にするな」

◆◆は酒を勧めた。■■■は釈然としないながらもコップを受け取った。



「ううん、きみ、ふにゃふにゃだね。悩みを聞く側の人間が先に酔いつぶれてどうするのさ」

「あー、自分でも飲み過ぎたとは思っている……許せ、許してくれ……」

「ん、ちょっと待ってて」

「ん? おー」

■■■は立ち上がり、どこかへ行ってしまった。トイレだろうか。◆◆はその背中をぼんやりと見送った。


「ねえ、きみさ」

戻ってきた■■■は手を伸ばし、ベッドに座っていた◆◆を押し倒した。

「前みたいにぼくのこと抱いてよ。上手くやれば治る気がするんだ」

「嫌がってたんじゃないのか」

股の上に座り、頬をほんのりと紅く染めさせて、■■■はずりずりと体を擦り合わせた。寄せられた口からほのかにミントが香る。

「……気持ちよかったって言ってるじゃないか。ただ、ぼくはね、きみが喘いで声を上げるのを、きみの上で聞くのが好きなんだ。それが、どうしようもなく興奮するんだ」

「うん? んー、うん、そっか」

座った眼で■■■は言った。ぐらぐらと揺れる視界のなか、◆◆はされるがままだった。

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