第7話 家族

この身体になってから上坂かみさか家には行っていない。今頃家族のみんなは何をしているんだろう。

そんなことを考えながら今日も学校へ通う。

何も変わらない朝。変わったのは自分の性別だけ、自分だけなんだ。周りは何一つ変わらない。

この頃はよく不安が脳裡を横切る。この先僕はずっとこのままなのか。全く知らない人間だからこそ不安である。

考えていると学校に着く。いつもの如く、憂鬱な気分になる。今の自分は気軽に会話ができる友達がほとんどおらず、学校が楽しいと思えない。

まあ、学校は人によっては遊び場みたいなものかもしれないけれど今の僕からしたらただの学び舎、それだけである。決して学校に遊びに来ているわけじゃない。

授業中も考え事をしているといつの間にか授業も終わり、また地獄の昼休みになっていた。

僕は学習をした。もう購買で戦争はしたくない。というわけで今日は気合を入れて弁当を作ってきた。

この間と同じように、またあの子と昼ご飯を食べる。

「波崎さん今日は弁当なんだ」

「そうだよ。気合入れて自分で作ってきたんだよね~」

「へぇどんな弁当なの?見せて見せて~」

自慢気に僕の弁当を見せる。

「oh...」

その一言だった。

「え?なんかおかしかった?」

「まさかこれ全部冷凍食品?」

「まあね、すごいでしょ」

「ある意味すごいかも...」

女子力0な弁当を披露しているうちに昼休みが終わっていた。また変な昼休みを過ごしてしまった。

午後の授業も眠気と闘いながらなんとか乗り越え、下校の時間になった。

学校にいてもすることがないのですぐさま帰ることにした。

帰り道、いつもの癖で上坂の家に向かっていた。家の前に立つと今の家じゃないことに気付き、踵を返すように家に帰る時だった。

どこか見覚えのある人が見える。それは他でもない僕の妹だった。



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