第6話  昼の終わりに

今日一日、学校を過ごしてわかったことがある。それは、自分は女子力が無いということだ。

いや、過去16年間男やってたわけだし女子力なんてものは当然無い。求めるのもおかしいくらいだ。女子と会話なんて全然しないし女の子らしい動作などもわからない。

しかし、今は女だ。女子力がなければ彼女、波崎桜さんのためにも自然に女子っぽく振る舞いをしなければ怪しまれてしまう。というかこのまま一生この身体なのだろうか。

そこで、学校も終わったことだし、女子らしさというのを勉強したいと思う。

「まずは友達と近所のクレープ屋でクレープを食べることにしよう」

なぜそう思ったのか自分にもわからない。というか馬鹿馬鹿しい。クレープを食べることに何の意味があるのだろうか。

でも女子といえばやっぱり甘いものだろう。女子高生ともなれば学校帰りにどこか立ち寄って何かしら食べてるだろう。

そう思い立った僕は学校の帰りにクレープ屋を視察することにした。

話は逸れるが、生前は学校が終わればすぐに家に帰りバイトか、引きこもってパソコンを触っていた気がする。そりゃ、リア充にもなれずに死んじまうよな。

少し悲しい記憶を蘇らせながら道を歩く。

しばらく歩いていると店に着いた、クレープ屋だ。

ここまで来ておいてなんだが、一人でクレープ屋ってどうなのだろう。普通は、複数人の友達と来るものじゃあないのだろうか。そう考えると途轍もなく悲しくなり、一気に孤独感が押し寄せてくる。

考えてもみれば、生きていた頃も孤独だった。そして転生もしたのにまたもや孤独。運が無いのだろうか。

「もう帰ろう」

おひとり様で来るような場所じゃあなかった。佇むのも尺なので帰ることにした。

家に帰り、ふと携帯を見るとこう思った。

「SNSのフォロワーって何人いるんだろう」

アプリを開き、フォロワー数を見る。フォロー人数71人フォロワー人数75人。

なんとも言えない微妙な数だ。現役女子高生ってもっと友達が多くてリア充してるものじゃあないのか。

世の中甘くない。人によっては友達が多いだろうけど、孤独な人はとことん孤独なものだと痛感した。


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