第4話 登校再開

僕は昨日、病院を退院した。もちろん退院したからには学校に行かなくてはならない。学生としての務めだ。

女になってから初めての学校、かなり緊張する。

「っと、制服制服...」

学校に行くのだから制服を着て通うのは無論当然のことである。しかし女物の制服なんて当然着たことがなくとても違和感がある。

「どう着るんだよ」

試行錯誤を重ね何とか着ることができた。まあ服を着るのに苦労なんて普通はしないが、今回は仕方ない。

着替えをしているうちに学校に行く時間になってしまった。初めて着るスカートに違和感を覚えながら学校へと足を急がせた。

学校に着くと予鈴が鳴る三分前、急いで教室に入らねば。そう思い無心に教室に入りいつも通り友達に挨拶をする。

「よっ!おはよう」

挨拶をした友達は変な目で僕を見て、クラスのみんなが僕に視線を集中させる。何かおかしいことをしただろうか。

席に座ろうと自分の席に目をやると、机の上に花瓶があり花が生けてある。何のイタズラだよ。

そう思いながら席に座り、予鈴に間に合ったと一安心する。するとクラスの女子に話しかけられる。

波崎はざきさんって三組だよね」

一瞬意味が理解できなかった。しかし波崎という名前を呼ばれた瞬間我に返る。

生前の記憶という奴か、完全に上坂祐の感覚で教室に来ていた。

なんという失態。赤面をしながら教室を出ていき、三組へ向かった。

今度こそ三組ということを確認し、教室に入る。するとまたクラスのみんなから視線が集まる。

「もう今日は何なんだよ...」

そう小声でつぶやきながら空いている席に向かう。

その瞬間、波崎という名前がクラス中で飛び交う。ああ、そうかしばらくいなかったもんな。そう思いながら無言で席に着く。

HRが始まった。お決まりの退院おめでとうという言葉がすぐさま先生やクラスメイトから言われる。内心どうでもいいと思ってるくせに。

そういえばお見舞いに来てくれた子が見当たらない。名前も聞きそびれたしどこの誰だかわからない。まあ、そのうち目の前に現れるだろう。

そんなこんなで性別が変わってから初めての学校生活がスタートした。

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