イヌ

 母は幼い娘の髪を掴んで振り回す

[お母さん! やめて‼]

 一方的な暴力だった

 娘の目には涙

 産まれてきて恐怖を味わったこと

 それは神様も望んではいない

[お前なんか消えちまいな!]

 母の言葉は娘の小さな胸を深くえぐりだす

 娘はただ泣くしかなかった

[どうして……そんなことを言うの?]

[うるさい!]

 パシィンと娘を平手打ちにする母

 涙が枯れたのはいつ頃だろうか


 十年後、立場は逆転していった

 娘が母に復讐の拳を面に見舞う

 娘はこれまでの事を

 全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て

 たっぷりと母を可愛がることにした

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ガラクタの詩たち 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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