不謹慎狩りっていうものについて考えたらよく解らない事になった。
猫寝
書きなぐり
不謹慎狩りっていう言葉が生まれたようだ。
地震に関連して、不謹慎なことを言っている人を見つけて叩く行為。
まあそれ自体は好きにしたらいいのだけど、寄付をしたことを公表しただけで叩かれる人がいるのはさっぱり意味が解らない。
そもそも日本は、無償の善意を美化しすぎている。
いや、それ自体は美しい物なのだけれど、それ以外は悪だとさえ言わんばかりの風潮はどうにかしたほうがいいと思う。
良いことしたら、「いいことしたよー!」ってアピールしたって良いし、それを見た人たちは、「やったな!」「偉いぞ!」って褒めてあげればいい。
その方がよっぽど健全だ。
「褒められること」すら求める事を許されず、一切何の見返りも求めずに行う無償の優しさだけが正義で、それ以外は悪だからやってはならないと言うのなら、そんな世界は息苦しくて仕方ない。
例えば男が女の子に優しくする時には、だいだい下心があるもので。
好きな女の子が困っている時に、「助けてあげよう」と思う気持ちには、どんなに純粋であっても、「その子に好かれたい」という「見返り」が、確実に介入する。
それは悪だろうか?
逆にいえば、不謹慎狩りをするような人たちは、「自分は絶対に善意をアピールしないぞ!」という確固たる思いを持っている人なのだろうなー。
どんなに良い事をしても、それをアピールするのは悪なのだから。
ここで一つ妄想をしよう。
不謹慎狩りをしているA君が居ました。
A君は、一生懸命働いて貯めた貯金の中から50万円を寄付しました。
そりゃあ寄付した人を叩くくらいですから、自分だって寄付はしてるに決まってます。ええそうですとも、決まってます。決まってないハズが無い。
けれど、それを誰にも言いません。彼にとってアピールは悪だからです。
だって、アピールしている人を叩いているのに、自分が同じことをするなんておかしいですもの。
しかし、A君ととても仲が悪く、大嫌いなB君が、
「俺、20万も寄付したよ―」
と吹聴しています。
すると周りの人は、「ええ!?凄いなB君!」「B君っていいとこあるね!」と大絶賛。
なんと、A君の想い人のC子さんまで「B君って優しいんだね」と好印象を持ったようで、B君とC子さんの仲は急接近しました。
A君はそれを苦々しく思いましたが、そこで「僕は50万寄付したし!」とは言いません。言う筈も有りません。
ある日、A君とB君が二人きりになった時、B君が勝ち誇った顔で言いました。
「俺は、20万も寄付する優しい人間だから、C子さんとも付き合えたし、なんなら今度結婚することになったんだわ―。けど!?お前は冷たい人間だから、どうせ1円も寄付してねぇんだろ!?人間としての器の差だなぁ!ざまぁみろ!!!俺の勝ちだ!!」
A君はそれでも、「俺はお前の倍以上寄付してるわ!」とは決して言いません。
だって、「良い事したとアピールするのは悪」だから。
結果的に悪が得する世の中であろうとも、A君はそういうモノと戦い、叩いてきたのですから、自分が悪に回るなんて、許せるはずが有りません。
だから彼は、にっこりと笑っていうのです。
「そうだな……B君は凄いな。僕は本当に一円も寄付してない、冷たい人間だよ」
数カ月後―――B君とC子さんの結婚式に出席した彼は、帰宅道中、星空を眺めて思うのです。
「僕の50万が、誰かの役に立っていれば、それだけで僕は幸せなんだ―――」
僕の善意を、優しさを、誰も知ってくれなくても良い。
見返りを求めるのは偽善で悪だから。
無償の優しさにこそ、価値が有るのだから――――。
そう思っているのに、何故か彼の瞳からは、一筋の涙がこぼれるのでした。
みたいなことなんだろうなぁ、きっと。
不謹慎狩り……尊いなー!!!
やってる人たちはみんなこういう人たちなんだろうなー!尊いなー!
まあ、そんな人たちなのに、なぜかネットでは他人に罵詈雑言を叩きつけてるわけですが!!矛盾だね!!
いや、むしろ、現実でこういう思いをしている人たちだからこそ、アピールする人たちを叩く事で、自分の受けた悲しみを癒そうとしているのかな。
俺はアピールしなかったのに!アピールして褒められようとするなよ!!
……あの時、アピールしていたら……俺の人生……少しは変わっていたのかなぁ……。
うん、やっぱり、良い事をしたら言って良いし、皆もそれを褒めたら良いと思うのでした。
まとまり無いけど終わりますー。
不謹慎狩りっていうものについて考えたらよく解らない事になった。 猫寝 @byousin
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