第5話 「おめでとう」の言葉

入籍、当日。

市役所の年金室では 余り使われないであろう「おめでとう」の言葉。

それを言ってくれたのは スタイリッシュな車いすを颯爽と操る男性職員さん。

入籍を機に姓や住所が変わる手続きに来ただけの年金室で

この言葉に出会えるとは思わなかった。

なんだか 胸がいっぱいになった。


入籍、翌日。

新車の一カ月点検に 彼とカーショップへ行って出会ったのは

顔見知りの営業さんの満面の笑みと「おめでとう」の言葉。

そして別れ際に 焼き菓子の包みを贈られた。

思いがけないプレゼントに

私も彼も 頬が緩みっぱなし。


沢山の「おめでとう」をもらって

沢山の「ありがとう」を返せた。


「おめでとう」と「ありがとう」のキャッチボール。

これが幸せなのかと 気付かされた。



 

 

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