第4話
目が冷めると、雨の吹き荒れる音と陽の呼ぶ声がした。
「光っ突然どうしたのっ?突然倒れるからびっくりしたじゃない!」
陽の声だ。目を開ける。そこには少し幼気な陽の姿が映っていた。
「ここは?……」
「何バカなこと言ってんのよ、一大事なんだからっ!」
「……一大事?」
「なによ!そんなことも忘れたの?みんなとはぐれちゃったのよ、あんたが水筒の水が無くなったから水入れてくるとか言ってたからついて行ったら雨が降ってきたから洞窟見つけて雨宿りしてるんじゃない!」
そう言えばなんとなく小学生の時の遠足でみんなとはぐれた思い出がある。でも…あの時は1人だったはず。なんで陽がいるんだ?やっぱり記憶がおかしい。
ここで取り戻さないと。
とにかく手がかりを探そう。
「ねぇこれからどうするのよ、このままだと助けが来ないんじゃない?」
今とは大違いだな、、、、
「今とは随分と違うんだな、お前。」
「なに言ってんの?」
あっ口に出てた、、しくったな、、、
「いやなんでもないよあはは〜」
「変なのっ」
・・・・・・・・
「なあなんで僕についてきたんだ?」
「それは、、、その、、、あんたが1人だと不安だから、、、」
「心配してくれてたのか、、、」
「なによ急に」
「なんでもないよ」
「それよりここにいてもしょうがないから洞窟の中を探索しない?」
「怖いから、、あんたが先に行ってよね。」
ほんとに今とは全然違うな、、、本当に陽なのか?
何があったのか気になるが今はそれどころじゃない。
洞窟の中は薄暗く少し冷たい風が中から吹いていた。
洞窟の奥に進むたび暗闇は濃くなり僕の手を握る陽の手も強くなっていった。ある程度まで進むと穴が狭くなっていき通れなくなったので元来た道を引き返した。
元いた場所に戻り、外を見ると雨はいっそう激しくなっていた。遠足は毎年夏に行われていたので気温差が激しく服も厚着していないので寒さが厳しかった。
ふと横を見ると陽が下を向いて座り込んでいた。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないよっ」
「どうかしたの?」
「このまま帰れないかもしれないんだよ?」
「陽も小学生らしいところがあるんだな」
「うっさいバカ」
「ははは」
他愛もない会話をして、バカみたいに2人で笑ってこんなことがあったんだと思うと、少し嬉しい。
少し沈黙が続き陽が言った。
「ねえねえ光?覚えてる?2人で遊園地に行ったの、2人でメリーゴーランドに乗ってさーーーーーー」
その瞬間、世界がねじ曲がり、元の世界に戻った。
メリーゴーランドに乗っていた。陽が楽しそうに笑っている。
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