俺はナイトメア。

人通りの多い駅前の商店街。



飲食店は勿論、雑貨屋や古本屋色んな店が軒を連ねる中、一際目立って人の出入りの多い店がある。



そのお店は綺麗な外観で店内からは色んな音が混じった騒音。そして老若男女が入り乱れて様々な感情を生まれさせてた。



パーラーデルンデス



そうパチンコ屋だった。



今日もまた喜んで帰る者。落ち込んで帰る者。怒りながら帰る者。期待を胸に抱き入る者。敗けを取り戻そうとして入る者。



パーラーデルンデスの様子を向かいのハンバーガーショップでポテトを頬張りながら眺めてる男が1人。



中井ユージ。



雑誌『暴露』のジャーナリストである。



雑誌『暴露』はいわゆるゴシップ記事を扱う月刊誌。



しかしその記事は意外と真実味を帯びてて愛読書にしている社会人がいるほどの雑誌。





小1時間前にユージは社内でこんなやり取りをしていた。



「中井!!」




威勢のいい声でユージを呼ぶ1人の女性。



「はい?」




気怠そうに答えるユージを無視して呼んだ女性が書類を渡して喋り続ける。



「この書類は高額納税者のリストなんだけど、気になる点があるのよねぇ。」



書類を受け取るユージが目を通すとそこには納めた税金と納税者、そして会社名まで書かれてあった。



「編集長。これどっから手に入れたんすか?」



編集長と呼ばれた女性。



亜場木麻須代あばきますよ



雑誌『暴露』の編集長。噂より現場を足で追う元敏腕ジャーナリスト。



昔取材中に足を怪我したらしく、それから取材に出なくなった謎多き女性。



なにやら人脈は太くて多そうな感じが醸し出されている。



「そんな事よりもこのリストの上位者を見てみて。」



ユージは言われた通りに目を通す。



目を通すとユージの目が一点で止まった。



「こんなことってあるんすか?東京レインボーランドグループよりも納税額が1桁も多い金額を納めてるのが、、、まさかのパチンコ屋だなんて、、、」



亜場木は微笑みながら



「毎年黒字決算更新している東京レインボーランドグループより1桁多い額で尚且つ今年になっていきなり現れて高額納税のトップに躍り出るなんておかしいと思わない?」



「しかもパチンコ屋が、、、」



亜場木は更なる書類を渡し、続けて



「今回中井に頼む案件はこれよ。」



書類に添付されてた写真を指差しながら、



「金持卓。パーラーデルンデスの初代社長。彼には昔から黒い噂が絶えないの。調べてきてもらえるかしら。」



そんな事があったが為にユージはパーラーデルンデスを見張っていたのだ。




その頃パーラーデルンデスの事務所では恰幅のいい男性が目の前のモニターをながめながら手元には色んなスイッチが置かれている。



男性の指がスイッチにかかると同時に、大当たりが増えるパチンコ台。



「さぁて夢でもみせてやりますか。」



にやけながら呟いた。



事務所の扉がノックされる。



「入れ。」



「店長。オーナーがお呼びです。」



「わかった。」



店長と、呼ばれた恰幅のいい男性は机から大量の書類を持ち出して事務所を後にした。



オーナーの部屋の前に着いた店長は一呼吸おいてから、ドアをノックした。



「失礼します。」



店長は部屋の中に入っていく。



座りながら葉巻を吸っているオーナーと呼ばれた男が金持卓。



パーラーデルンデスの初代オーナー、そしてユージの調査対象者でもある。



「相良、ちょいとここ2、3日回収が悪いんじゃないのか?」



相良と呼ばれた店長はうつむくしかなく力の無い声で



「すいません。打ち子への放出が多くなってしまいました。しかし回収の手立ては出来てますので。」



「まぁいい。今月の募集はどのくらい集まったんだ?」



相良が金持に200枚以上の書類を渡す。



書類に目をくれる様子もなく薄気味悪い笑みを浮かべながら静かに語った。



「別に外で喋らなければ誰でも構わん。先月入った奴らと全員入れ換えとけ。サクラやってますなんて言われたらたまらんからなぁ」



「わかりました。誓約書通りの金額を渡して今月で終わって頂きます。では失礼します。」



相良は一礼し部屋を出ていった。



静まる部屋の中で1人にやけながら呟いた。



「クックック、、、上手くやれば金なんか簡単に集まって、変に目をつけられる事もないのだよ。知恵が足らんよ知恵が」



大声を出して笑った。




「なるほど。そうですか~。はい。わかりました。またなんかあったら宜しくお願いしますね。すいません、失礼しまぁす。」



電話を切ったユージは、深いため息を吐いた。



「税務署に問い合わせてもだめかぁ」



ハンバーガーショップに張り付いて約5時間。状況からして一向に進んでる気配がしない。

再びポテトを頬張りながら難しい顔を繰り返し、スマホに手をのばし、誰かに発信した。



「あっ。オヤジ頼みたいことあんだけど、、、」



緻密な会話が行われているのか、ユージは鋭い目付きを放ちながら



「それじゃ頼んだぜ。オヤジ」



通話を終えるとハンバーガーショップを後にした。



「相良さん。新しい会員が増えました。」



相良の元に1人の従業員がやって来た。



従業員から渡された書類に目を通すとそこに書かれていた名前には



『中井ユージ』





ユージはパーラーデルンデスで遊戯していた。煙草を吸いながらひたすら打ち続けていた。



ユージは打ちながらも辺りを見渡すが特に変わった様子も無い。いわゆる普通のパチンコ屋。



特に出ていないとかもなく椅子の後ろでドル箱を積んでる台もあれば、俗にいうハマり台もあり、本当に街中のパチンコ屋と変わらない、ただ完全会員制以外は。



「これをどうぞ。」



声と同時に飴玉の入った袋が乗ってる手がユージの前に現れた。



ユージが振り返るとそこにはお婆さんがパチンコを打ちながら再びユージに話す。



「若い人は当たらないと直ぐに台を変えたくなるだろうけど、こういう時こそ辛抱が大事なのよ。ほら飴食べな。」



ユージの辺りを見渡す行為がお婆さんには当たりそうな台を探してる若者に見えたみたいだ。



「それじゃお言葉に甘えて、、、」



ユージは素直に飴を受け取った。



気付いたら閉店時間。



ジャーナリストの仕事も何一つ収穫はないユージ。



しかし隣の台を打っていたお婆さんとちゃっかり仲良くなり店を出てからも二人は夜道を喋りながら歩いていた。



「えっ?婆さんあの店が出来た時から行ってたの?」



「そうよ。お爺さんが亡くなってから特にやることもないし、息子達は自分の家があるし。年寄りの楽しみだよ。」



ユージは閃いた顔をした。



「婆さん。実は俺、、、こういうもんなんだ。」



ユージは名刺を差し出す。



「ふぅん。あの『暴露』の記者さんだったのかい。お爺さんも毎月読んでたよ。」



二人はそれから夜が明けるまで話し込んでいた。



お婆さんからしてみれば息子や孫以外の話し相手が自らの趣味と合い、ましてや愛してたお爺さんの愛読書だった雑誌の記者と知ったのだから。






翌日、ユージはお婆さんとパーラーデルンデスの開店を並んで待っていた。



「婆さん。今日はやけにご機嫌だなぁ」



「ユージくん今日は私は負けないのよ。」



お婆さんは今にもスキップをするんではないかというテンションでユージに得意気に語り始めた。




「デルンデスの完全会員システムにはメリットがあって毎日抽選で出玉が出続ける台を教えてくれるのよぉ。」



「!?そんな事あるっっ」



ユージがびっくりした様子で大声を出したらお婆さんに指を口にあてられ



「しーっ」



「ご、ごめんなさい」



店が開店した。お婆さんは迷いもなく1つの台に座る。



ユージも適当に座り、昨日に引き続き遊戯をしながら調査を始めた。



早速お婆さんの台から大当たりが出た。満面の笑みを浮かべハンドルを握りしめている。

その様子を離れた見ていたユージは益々頭の中で混乱していた。



出玉を出し続けるなんて普通のパチンコなら出来ないこと。ましてや店側が出玉を操作するなんてあってはならない事。



店自体がオープンしてまだ1年弱なのに、社長が高額納税者に名を連ねてること。



そして完全会員制な所。



ユージの頭の中は『違法』の文字で埋め尽くされた。だけど完全な証拠は何一つない。



お昼を過ぎた頃には、店はほぼ満席になっていた。



ユージはお婆さんのいた席を見てみるといないことに気付く。



でもそこまで気に留めなかった。トイレにでも行ったのだろうと思いながらもおかしな事に気付いた。



椅子の後ろにドル箱が1箱も積まれていないのだ。



その時店に甲高い声が響いた。



「キャーーーーーーーーっ」



ユージは悲鳴の元にいち早く駆け出した。向かった先は女性トイレ。



現場に着くと女性が腰を抜かして身震いしながら指をさしていて、その先に目を向けると、閉まっている個室から血が流れていた。



ユージがドアに手をかけても鍵がかかっているのか開かない。



「どうかしましたか?」



騒ぎに気付き従業員がやって来た。



「説明は後だ!!早く警察と救急車だ!!」



ユージは声を荒げてドアを蹴飛ばした。



「でも、、、」



「いいから言われた通りにしろ!!」



狼狽える従業員を余所にユージは開いたドアの先に見た光景に絶句した。



「!?、、、嘘だろ」



個室内で2時間ほど前まで明るかったお婆さんが手首を切って倒れていた。



すぐさまお婆さんを寝かせ応急措置を施す。着ていた服を脱いで、引っ張って破いていく



「きゃあ!!?」



脱いだユージの身体を見た腰を抜かしてた女性はまた甲高い声をあげた。



無理も無いだろう。ユージの肉体は余分な所が無い引き締まった良いからだなのに、



無数の傷があったのだから。




破いた服を切口にあてて、素早い手捌きで切口にあてている布の上から包帯の様に巻き始めた。



きっちりと結んでからすぐさま、切り口とは反対の腕で脈をとるが、感じられない。



心臓マッサージを行い、人工呼吸も施していく。



「婆さん!!帰ってこい!!婆さん!!」



応急措置を施している間に救助隊と警察が到着した。



お婆さんの身柄を救助隊と警察に預けて、ユージは便器の側に落ちている物に目を向けた。血塗れの携帯電話とお婆さんが持ってきたとされるカッターナイフそしてお婆さんの鞄が散らばっていたが、誰にも気付かれない様に自分のポケットに携帯電話だけ入れた。



「あのぉ?」



救助隊がユージに声をかけた。



「はい?」



「応急措置されたのはあなたですか?」



「えぇ、まぁそうですけど、、、」



ユージは歯切れが悪い返事をした。



「すいません。ちょっと急いでるんで、、、」



足早にユージはパーラーデルンデスから出ていった。



救助隊の1人が関心を示していた。



「ここまで完璧な包帯の代わりが出来るなんて、、、」



「しかも周りにいた人の話だと迷いもなく自分の服を脱いで素早く応急措置をしたそうですよ。」



救助隊は聞いた話と、実際の治療後を見て、ただその場に居合わせていたユージの行動に唖然とするばかりだった。



「早く病院に向かうぞ!!」


そしてユージが上半身裸でデルンデスを後にした事を誰もが忘れていた。








ユージは自分の家に帰って来た。顔はかなり不機嫌な表情で、、、



「オヤジィ!!オヤジィ!!」



家中にユージ声が響き渡る。



「若ぁ、相変わらず人使い荒いなぁってなんで上が裸なんだよ?」



階段をおりながらダンディーな感じの大人の男性が驚きながら降りてきた。



「えっ?あっ!!すっかり忘れてたぁ~。あのロンティー高かったのに!!」



ユージは咳払いをして



「オヤジ。再開するぞ。を」



オヤジと呼ばれた大人な男性は笑いながら



をまたやると思ってたよ。あいよ。準備は出来てるぜ。」



と言い、ユージに畳まれている紫のつなぎと無線機、そして拳銃を渡した。



「あとこれ、昨日頼まれてたやつだ。」



着替えてるユージの近くに茶封筒をおいた。



オヤジは間髪入れずに話続けた。



「若、気になるのが一点あるんだ。開店してあの店ではもう15人の人が自殺してるんだ。しかも全員高齢者。なんかあるとしか思えないんだよ。」



着替え終わって茶封筒を開いて目を通していたユージはオヤジに聞いた。



「それだけの人が死んでいて何故ニュースにならないんだ?どっかで情報が出てもいいはずなのに、、、」



ユージは書類の一点で目が止まった。



「なるほどねぇ~」



ユージは立ち上がり、脱いだジーパンのポケットからお婆さんのと思われる携帯電話を取りだしパソコンに繋いだ。



画面が割れて何も見ることが出来ない状態の携帯電話にパソコンからなにやら操作を始める。



ユージは高速に指を動かす。



「出来た!!」



エンターキーを弾く。



パソコン画面に文字が現れた。



永江ミイコ様


いつも当パーラーデルンデスにお越しいただきまして誠にありがとうございます。


つきましては永江様に明日特別サービスと致しまして、


「出玉出っぱなし」のサービス権を差し上げます。


明日開店と同時に427番台にお座りくださいませ。


永江様に感謝の気持ちを還元させていただきます。



と書かれていた。






街も静まり返った夜11時パーラーデルンデスの事務所で相良と金持が落ち着かない感じで話をしていた。



「なんで今回の自殺にサツと救急隊は来たんだ!!」



金持は声を荒げた。



「応急措置を施した客がバイトに促したせいで、、、」



話を遮り、机を叩く金持。



「話にならん!!今日の通報したバイトはもう切っておけ!!それから相良!お前も減俸だ!!」



そう言って金持はスマホをスーツから取りだし電話をかけた。



「あっパパぁ?ごめんねこんな時間に。実は頼みたいんだ。いつものやつ」



相良は身震いしながら一礼して部屋を出ていった。



病院の霊安室。安らかに眠っているお婆さんの側で、ポテトを食べながら紫のつなぎを身に纏うユージが立っていた。



悲しそうな瞳をし、お婆さんを見つめてる。指を舐めて、



「婆さん。行ってくる。」



そう言ってポテトの袋を線香の側に置き、霊安室を後にした。






パーラーデルンデスの屋上。



ユージは1人立っていた。



「若、いつでもいいぞ。」



無線からオヤジの声が入った。



屋上の扉を開けて階段を降りていく。



壁に張り付いて辺りを見渡すが誰もがいない。4階の廊下には部屋が3つ。



事務所。オーナー室。スタッフルーム。



ユージは軽快な足取りで事務所前に着いた。ドアノブを回すが動かない。鍵がかかっていた。



ポケットからすぐに針金を取りだし鍵穴に通す。すると1分もしないうちに、、、



カチャン!



鍵が開いた。



扉を開けて部屋に入るとモニターの数やスイッチの数に圧倒されていた。



「ここまであるとすげぇとしか言えねぇや、、、」



ユージはつぶやきながらポケットからデジカメを取りだし部屋にあるモニターやスイッチにシャッターを切っていった。



そして棚に並べられてるファイルに手を伸ばし捲り続けて、その様子をデジカメで録画していると



「誰だ!?」



相良の声が響き渡る。ユージは見つかってしまったが特に気に留めることもなく、



「あっお気になさらずぅ」



白い歯をみせて、銃を構える。



「てめぇ、、、」



相良は頭にきてユージにすぐさま殴りかかった。右手を繰り出すがユージに華麗に避けられる。



「動きが遅いよ。」



相良は更にパンチを繰り出すが全て避けられアッパーを繰り出した時に相良の手が止まった。



ユージは左手でアッパーを受け止めて右手で銃を突きつけた。



「ここまでだ。」



笑みを浮かべ銃を撃つ。銃弾は相良の額にあたり膝から崩れ落ちて倒れこんだ。



「安心しろ。麻酔銃だからって寝てるか」



ユージは事務所を後にしようと歩き始めた時



「若!!気を付けろ!!店に警備隊が7人位入っていったぞ」



店の外から様子を見ていたオヤジから無線が入った。しかしユージの目の前には1人の影が。



「どこのネズミだぁ?」



「金持、、、」



金持とユージが向かい合い互いに銃を構えている。



「相良を倒すとはだいぶ腕が立つようだなぁ。しかし貴様は終わりだ。この鉛の玉で死んでもらうよ。」



「若!聞いて、、、」



無線を切りながらユージはにやけて



「残念だけどまだ死ぬわけに行かないんだ。」



「社長!!大丈夫ですか?」



オヤジの言っていた警備隊が到着した。警備隊はユージにマシンガンを構える。



「銃を捨てろ」



ユージは言われた通りに銃を放り投げた。



警備隊の1人が言いながらユージとの距離を少しずつ埋めていくが、ユージも少しずつ後ろに下がっていく。



八方塞がり。この表現が今は一番正しいんだろう。警備隊全員が事務所に入って半円形の陣形でユージを囲う。



警備隊の後ろで金持が不敵な笑みを浮かべ



「後は頼んだぞ。」



と言い残し去っていこうとした瞬間。



突然警備隊の1人がよろけ、ユージはすぐさまその隊員の懐にはいり肘をみぞにいれてからマシンガンを奪い



「動いたらコイツがどうなるか、わかってるよな?」



警備隊が怯んでる間に、盾にしている警備隊と共にさっき捨てた銃をの元にいき、拾い上げた。



盾にした隊員を警備隊に向けて押し出した瞬間。



銃声が鳴り響く。ユージは休むことなく警備隊のひとりひとりに撃っていった。



弾は警備隊の頭に次々と当たっていき撃たれた順に眠りに落ちていった。



「うぅ、、、何が起きてるんだ、、、き、貴様は何者なんだ?」



「俺か?俺は、、、ナイトメア!!オメーはもう悪夢の入り口に足を突っ込んだんだよ。」



ユージは次々と喋り続ける。



「それにしてもひでぇ店だな。箱を積んでる奴の9割はサクラ、しかも過去15人の自殺はオメーの親父が医者の権威なのを良いことに、親父に頼みこみ、可愛いバカ息子の為に権力を振りかざし、発生すら揉み消し。金を持ってる家族は基本的にマシな奴がいやしねぇ。しかも自殺した高齢者にサービス権を唱うメールまで送り付け、最終的に財を奪っていったこの悪党が!!」



金持は滴り落ちてくる汗を拭いながら



「金を持っているのに使わないのがいけない!!私はただ持ってるのに使わないジジィやババァの金を国に回してあげただけだ。使わずに貯めるから金が回らないんだ!」



ユージは舌打ちしてから金持を睨み付け、



「寝言は寝てから言え。」



金持に向かって走り始めた。金持もすぐにおろした銃を構え始める。しかしその銃を構える前にユージの蹴りが手首に当たる。



「うっっ、、、」



次の瞬間、金持の視界が1回転した。蹴った後に遊んだ右手を掴んだユージがそのまま一本背負いを決めた。



「ゲームオーバーだ。」



ユージは銃を撃った。








「金持容疑者は未だに容疑を否認しておりますが証拠を固め次第再逮捕、、、」



「編集長。これ今回の原稿です。」



ユージは亜場木に原稿を渡す。



原稿を受け取った亜場木はすぐにゴミ箱へと捨てた。



「ええっ!?」



「中井~。お前金持が捕まってからじゃ出しても意味無いんだよ。この能無し!!」



「マジっすかぁ~」



ユージは亜場木にこってり絞られたのは言うまでない。



「若!お帰り!」



「ただいま。」



ユージは帰宅してオヤジと談笑している。



「それにしてもよくあの7人の警備隊を仕留めたなぁ。」



「あぁあれ?」



ユージは得意気に語る。



「警備隊の奴らが来た瞬間に一番前にいた奴のももに撃ったんだよ」



ユージ曰く囲まれるときにまだかなぁと心から願ってたらしい。



ユージ達はそれぞれ部屋に戻った。ベッドに身を委ねるユージ。



視線の先には札束が山積みになっていた。






「紫のつなぎの男の証拠は?」



パーラーデルンデスで現場検証が行われていた。



赤いスーツを着た女性に警官が近寄る。



「警部補。これと言って証拠が無いんです。」



「一体どういう事?捕まった奴らは全員紫のつなぎの男にって言っていたのに、、、防犯カメラはおろか、なんにも手掛かりがないなんて、、、」



ユージはポテトを美味しそうに頬張っていた。



~続く~

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