第30話 分かれ道
これからの旅路について話そう、そう言ったルークは先ほどまでの穏やかな表情から真剣な顔つきへと変わっていた。
そのルークの顔つきから察するに、これからする話は余程大事なことみたいだ。
この部屋にいる全員の視線がルークへと集まると、彼は静かに語りだす。
「良男くんとビチコちゃんはカミサマに頼まれて、この世界を歪めている何者かの存在について情報を集める為、冒険をしているんだよね。」
改めて旅の動機を確認し、2人が頷くと続きを話し始めた。
「そしてこれはあくまで私の感なのだけれど、なるべく早くこの世界の歪みをなんとかしないと取り返しのつかないようなことが起こる気がするんだ。だからこれからは効率よく情報を集めて欲しいと思っている。」
ルークは2人の方にチラッと視線を合わせると、少し言いづらそうな様子を見せるが一呼吸置いて再び口を開いた。
「良男くんとビチコちゃんには辛いかもしれないけど、ここから先は2人とも別々の行動を取ってほしい。」
その言葉に対して良男とビチコは何も返せず黙ってしまう。
一度離れ離れになった2人がこうしてまた出会えたのに、また離れ離れにならなければいけない。
しかし、ルークの言うように2人一緒に動くよりは別々で行動した方が効率がいいのも分かる。
良男が下を向きながら悩んでいると、ルークは2人の背中を押すように言った。
「そんなに深く考えなくても二度と会えないわけじゃないから大丈夫だよ。 今は世界と世界と
その言葉を聞くと、2人は安心したようでお互いに笑顔を向けあった。
2人のその様子を見ると、ルークはこれから良男とビチコはそれぞれどこへ向かってもらうかを告げた。
ビチコは中心の世界である"スヴァンフォルム"へ。
良男は原始人が住む世界、"モルガン"へ向かうこととなった。
キュニアの転移魔法により、2人は別々の場所へと光と共に飛ばされていった。
これからしばし別々の道を歩むこととなった2人には一体何が待ち受けているのだろうか。
———そして2人が別々の世界へ転移したその夜。
アルフヘイムの緑に囲まれた小さなログハウスに男女が2人。
そう、そこにはルークとティータニアの姿がある。
夜の静寂と共に部屋の頼りない灯りが消えた。
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