第25話 覚醒
虚無の間に入り何日たった?何ヶ月たった?
分からない
朝か夜かもわからなくなっていた
食事もろくにとっていない
身体も軽くなった気がする
ここに来て最初は
だが、なにも成果は出なかった
何度も何度も、だが武器は出るが錆びていて使えるようなものではなかった
特殊能力ってなんだよ
なにも起こらないじゃないか
「何やってんだろ・・・」
ここでは何してもいいと言っていたがこの場には何も無い
ぶっちゃけ何をしたらいいのかも分からない
どうして俺がこんな目にあっているんだ
俺は幸せになりたかっただけなのに
俺は普通の生活が送りたかっただけだ
普通以外何も求めていない
何故か笑いが込み上げてきた
何故戦わないといけないんだ
この世界を救うことが俺の幸せになるのか
逃げてばっかりの人生だった
立ち向かう勇気など俺にはない
どうして。どうして。どうして。
「母さん・・・」
笑いながら涙が溢れた
昔のことを思い出した
俺は普通に生きてきた
あの時の事件以外は―――
俺が12歳の時
殺人犯が俺の家を襲った
「ここにいなさい!何があってもここから出ないで」
「嫌だ!母さん!母さん!!」
「大丈夫だから」
母さんは笑いながら言った
それが最後の会話だった
母さんは俺を押入れに隠し12歳の俺はガタガタと震えていることしか出来なかった
最初は聞こえていた物音も騒ぎ声もいつの間にか聞こえなくなった
押入れを出た世界には後悔しかなかった
倒れている小さな体
白い服は赤く染まっていた
もうその体には力も何も残っていなかった
俺は泣き叫ぶことしか出来なかった
守れなかった
俺は自分を責めた
もしかすると、通り魔に出会った時もあの時逃げることを選んでいなかったら生き延びれたかもしれない
ビチコが目の前で砂になってしまう時も俺に力があれば救うことが出来たのかもしれない
悔しくて憎くて自分の非力さが嫌になった
なぜ俺には大切な人を守る力がない
俺は大切な人を守ることが出来ない
だからゲームの中のキャラクターになんか恋をして、大切な人を傷つけてしまう現実から目をそらしていたのかもしれない
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!!!!
もう嫌なんだ
ビチコは今はネットの中じゃやい
現実にいるんだ
俺に力があれば・・・
自分の大切な人を失うのはもう嫌だ。
力がほしい
力がほしい
力がほしい
大切なものを守る力
大切なものを傷つけない力
「ビチコ」ふと名前を呼んでいた
ビチコだけは俺が守る。
もう傷つけない
もう大切なもの失いたくない
力がほしい!!!
俺は力をグッと込めた
俺は右手には錆びてない燦然と輝く大剣を持っていることに気づいた
「これか、これがティータニアが言っていたことか!」
「よっしゃあ!」
喜びはつかの間、目の前には神が強くなれと言っているかのようになぜか何万との敵が現れていた
俺は武器が折れたら新しい武器を出し何万もの敵と戦った
俺は前の俺とは違う
もう逃げない
ビチコを守る
頭の中でビチコが呼んでいる気がした
「ビチコ?」
「助けて」
虚無の間に光が指した
俺はビチコの声を頼りに走った
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