第25話 歪む

 板熊達にはまんまと騙され、挙句報復も警察に検挙してもらう事も出来ず、奴らを取り逃してしまった自分は大いに歪みました。

 まず友情なんて言葉が信用できなくなりました。友人はただ他人と同じ程度まで考えが落ちます。

 特に金が関わると、その友人とは完全に縁を切る程に徹底的でした。以前、金を貸して欲しいと頼んだ友人の1人が、逆に頭を下げてまで金を貸して欲しいと言ってきました。どうにも首が回らない上に直に金が要る状態だったらしいですが、自分は情け容赦なくそいつを捨てましたね。

 当然かつての友人は「薄情者」だの「それでも友人か」などと世迷言をほざいてましたが、自分からすれば何言ってんだって感じです。

 その友人は自分が困っている時に金を貸してくれなかった人間です。そんな奴に金を出す義理なんてありはしないです。某アニメでも言ってます。「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけ」と。内容は違えど、本質は同じ。一方的にいい思いが出来ると思うのは愚かな発想という意味です。

 最もそんな調子で金に対してシビアで尚且つ疑り深くなった為、他の数名の友人達とも縁切りになりましたが、後悔はありません。

 自分は金を出さず、都合のいい時に金を要求する奴なんて縁を切るべきだと自分は思います。だってそいつには友情なんて無く、あるのは利益だけですしね。

 

 また、仕事においても支障が出ました。疑り深い性格が当時はコントロール出来ず、職場の同僚や、お客様にも疑り深く接していました。客商売でこれは致命的です。

 その為、騙されてから約二年間はまともに定職に付けなかったです。仕事は1人でやる物ではないのに、他人を寄せ付けない様振る舞っていた為、人間関係でもめて、退職させられる事が多かったからです。

 この期間は本当に辛かったです。自業自得とは言え、安定した収益を望めないのはストレスが積ります。その為、精神的に追い詰められていました。

 一時期は仕事が余りにもうまくいかなかったので、自殺も考えましたが、度胸が無くて、結局しなかっです。


 そして思考も変わります。騙される前までは、自分で言うのもなんですが、自分は比較的温厚で平和的思考の持ち主でした。

 しかし騙されてからは右翼的な思考になります。犯罪其の物を許せず、発言も過激な物を何度か言ってましたね。

 これも人を遠ざける物でして、これが原因で職場で口論になった事も幾度かありました。


 とは言え、これらは二年間という月日で何とか更生できました。やはり退職の連続が堪えたのだと思います。反省のきっかけには十分な物だと思いますし。

 ただ、これだけは言えます。人間誰しも、いつ考えを変えるか分かりません。このエッセイを読んでくれた皆さまの身近にも、考えを変え、お金を友人から毟ろうとしている人間がいるかもしれないのです。

 はっきり言って友情なんて物は不明確です。共通の趣味なり、共通の思考があれば、人間誰しも仲良くはなれたりします。

 ですがそれで友情なんて芽生えはしません。仮に芽生えても両方が芽生えるのは難しいと思います。

 両方がしっかりと友情を意識して、初めて友人になれると思います。そのラインに居ない場合は他人です。いつ詐欺や恐喝などを仕掛けてきてもおかしくないのです。

 

 皆さまも十分に気を付けてください。そして円滑な人間関係を行える様、心から祈っております。

 

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